File 247 千葉港信号所

稲毛海浜公園から南下した先の湾港にある、特徴的な廃墟。
その廃墟を望むものは職質のターゲットとなる、厳重な警備が行われている。
はたしてどのようなところなのか?

千葉港信号所
【所在地】千葉県美浜区新港4−9
【交通手段】車かバイクで。

2015/7/18 訪問


ある日、1通のメールが届く。
なんでも、稲毛海浜公園の先に廃墟があり、
その周辺は職質が行われているほど警備が厳重な場所であるとのこと。

以前からそういう場所があると話を聞いていたが、
その物件が「廃墟になった」のは、つい数年前の出来事。
廃墟と、その警備の状況を肌で感じてみたく、本日訪問してきました。



千葉の大動脈、国道16号を南下していき、
どこにも曲がらずに直進していくと、稲毛の海浜エリアにつきあたります。

そのつきあたりの交差点の看板をみると、
右のほうに矢印がかかれていますが、左側に関しては記述がありません。
今回はこの左のほうに進んでみます。



件の交差点。ほとんどの車は右折して、幕張、都心方面に走っていきます。
この場所の左には「アクアリンクちば」があります。
ここはアイススケート場で、隣接する清掃工場の余熱を使用した温水プールもあります。



左に見えるアクアリンクちばを横目にカーブを曲がっていくと・・・



無数の電柱と、駐車するトラックが見えます。
そしてその通りの先に、今回の物件「千葉港信号所」が見えます。
左側に見える建物はほとんどが資源サイクル的な工場のようです。



そしてさらに進んでいくと・・・数人の警察の姿がちらほらと。
つきあたりになろうかというところに、警察の監視小屋がありました。

そしてゆっくりと進めていくと・・・向こうから声をかけられました。
身分証を掲示するような職質というわけではなく、目的等の質問があり、
それにこたえるだけ。
私は正直に「近くでその建物が見たい」とお話しました。

すると「この先の左へつづく脇道には絶対に入らないで」という警告を受けました。

訳を尋ねてみると、隠していることでもないようで、答えていただけました。
なんでも、成田空港の飛行機の燃料に関する重要な施設なので、
テロ対策として警備を行っているそうだ。

そう、File 243 ウイング土屋 のレポで、
「1983年に成田空港用の燃料パイプラインが開通したため、
もともとの貯蔵場所だった土屋地区が更地になって、イオンモールが入居した」というように記述しましたが、
その1983年に開通したパイプラインの起点がココなのです。

港のタンカーから、パイプラインに流す航空機用の油を引き受けるのがこの一帯、ということですね。



警察の承認を得て(?)晴れて通過できるようになったので、バイクを進めていくと・・・
知ってはいましたが行き止まりになっていました。

そして目の前にそびえ立つ、バランスの悪い建造物。
遠目に見ても廃墟であることがわかります。



表札には「千葉港信号所」とあります。

この建物は昭和48年3月から運用開始、
平成24年3月にその役目を終えたとのこと。廃墟になったのは結構最近のことですね。
計算すると実働期間は約36年程。



シルエットがなんとも言い難い建造物です。
細い支柱で数倍の大きさのフロアを支えているわけですが、
こんな形で、風が強い湾港地帯でよく耐えられたものです。

支柱のドア以外の入り口はなさそうで、
おそらく外壁をのぼって乗っ取りされないようにとか考えて作られたのでしょうか。



ここの代わりの施設はというと、もちろん存在します。
堤防が高く良い写真がありませんが、一応映っている画像を。
矢印のところが新しい信号所「千葉中央港信号所」です。
湾を挟んで対岸にあります。



アップにしてみます。
ネットで全体を覆うように保護されています。
そのネットを固定する紐は支柱に固定されています。



さらにアップ。

結構天井の崩落がありますね。
こんな状態のものが、わずか3年前まで現役だったとは・・・



さらにさらにアップ。

よく見ると、ガラスに傾斜がついています。
おそらく雨や海の飛沫がすぐに流れるようにするためと思われますが、
この角度が奇妙なシルエットを生んでいるようにも思えます。



私がこの建物を見ている間、1台の警察車両にマークされていました。
ま、彼らにとってはこれが仕事なので、当然のことですが・・・



千葉港信号所の脇の建物群。

アクアリンク千葉付近は前述のとおり資源サイクルの工場ばかりだったのですが、
この信号所付近はガスタンクと思われる建造物が多く、
燃料パイプラインであることがなんとなくわかる雰囲気です。



そして帰るときにも、警察車両とすれ違う。
ナンバーをよく見ると、さきほどの警察車両とは違う。
つまり複数台が走っている模様です。

とまあ、こんな場所でした。

奇妙な形状の廃墟は、外観だけでも十分に見ごたえがありますが、
それ以上に気になるのが、周囲の物々しさ。
この物々しい警備は、東峰神社に次ぐ千葉県の職質スポットともいえます。
職質をすすんで受けたいという奇特な方はともかく、
身にやましいことがある人が行くような場所でないことは間違いありません。

以上「千葉港信号所」をお送りしました。


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