File 270 東京湯楽城
成田空港近くの敷地の広さを活かしたホテルの中に、
他とは違う豪華なスーパー銭湯がオープンしているが、開業以来閑散しているという。
はたしてどうのようなところなのか?
【物件名】ホテル ラディソン成田
【所在地】千葉県富里市七栄650-35
【交通手段】車かバイクで(東関道 富里ICから6〜7分程度)
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2021/4/25 訪問
緊急事態宣言のため、休日の東京都内への往来がはばかれるこの時世。
行楽は千葉県内に足を向けることになるわけですが、
県内であっても、混雑しそうな場所に行くのはリスクがある。
どこか良いところはないかな・・・と考え、すぐに思い浮かんだのが、「東京湯楽城」。
オープンして1年ほどたつ昨年、SNSで「豪華なのに、とにかくお客さんがいない」ということで評判になっていました。
その後マツコ・デラックスが少し話題にしたりと、この施設がメジャーになるチャンスはあったのですが、
現在はすでに話題にのぼらなくなってきた、という感じです。
これなら日曜日に行っても大丈夫なんじゃないかな、ということで訪問してきました。
今回はスマホでの撮影なので、画質や画角がよろしくないのはご容赦を。
富里IC付近の商業施設密集地帯から7分程度走ると、「ラディソン成田」というホテルがあります。
そこまでの道中で「東京湯楽城」という看板を目にすることはありませんでした。
もしあったとすれば、目に入りにくい場所に設置しているとは思うので、改善してほしいものです。
ホテルの正門には当然そのホテルの看板があるわけですが、
一般的なこの手のホテルであれば、ホテル内のレストランのメニューの写真が貼ってありそうな場所に、
やっつけ仕事みたいな東京湯楽城のポスターが貼ってありました。
そんな出来と感じるような案内なので、将来この施設はなくなるのではという不安を抱きます。
B級スポットファンは早急に訪問しておくべきだと思います。
車に乗ったままホテル本体ではなく、奥の道に車を進めていくと、
画像のような、平等院鳳凰堂を思わせる巨大な建造物が出てきます。
噴水もあり、外観は圧巻です。
ただ、屋根近くに掲げられた浮世絵人物画は色あせていて見栄が悪いですが・・・
成田空港への送迎バスの駐車場横にこの施設用の駐車場があるので、
そこに車を停め、いざ突撃。
入場ゲートに近づき、巨大な自動ドアが開くと・・・
ファッ!?
シャンデリア、大理石、カーペットと、想像していたのと全然違う・・・。
どうみても迎賓館、ベルサイユ宮殿とかその類のものです。
ホテルの施設だけあって、そのホテルでも業務を行っていると思われる方が接客してくれます。
説明とか振る舞いもまさしくホテルマンで、
スーパー銭湯に行ったのに、これから宿泊案内されているかのような体験ができます。
雰囲気がもう・・・
スーパー銭湯ではなく、ホテルのために作られたと錯覚しそうなロビーラウンジです。
この日の入浴料金は1400円。館内着、レンタルタオル代込みです。
館内での買い物はICブレスレットで行う、後精算式となります。
ロッカーで館内着に着替え、真っ暗な足湯ロードを通ります。
外人が多そうなホテルでこの方式は大丈夫なんでしょうかね。
ちなみに浴場と更衣室以外では撮影OKのようです。
足湯ロードを抜け、鳥居をくぐると・・・
通路に沿って天井に動く映像が流れ、今風にいうと映えそうな風景が広がっています。
正直、初見だとインパクトはすごいです。
映像の中には文字が書かれているのですが、読ませる気ないでしょこれ・・・
映像が流れている通りは2つあり、こちらがもう一方の通りです。
この通りの横は飲食店になっており(しかも2つある)、
1つはアイス等のデザート類、中華料理と珍妙な組み合わせです。
(※ホテル側のレストランに中華料理店がありますので、その関係と思われます)
もう1つは居酒屋という感じで、こちらはお酒とスナック系、和食です。
ホテルの施設ということもあり、おそらく料理の腕は問題ない、むしろ期待できるのではないでしょうか。
場内にはバーカウンターの形で酒類を提供する店舗があったようですが、おそらく二度と開かない状態でした。
天井の映像は、最初きれいなプロジェクションマッピングと思ったのですが、まじまじと見ると液晶パネルのような画質でした。
ただ、相当お金がかかっているのではと思います。ランニングコストも大きそうです。
※あとで確認したところ、この施設の総工費は24億円だそうです。
通りがどちらであろうが、人が居ないのは共通しています。
この街並みの中心地というべき場所には舞台があり、
なにか見世物でも行う予定だった(あるいはオープン当初だけ行われていた)のではと思います。
客がもっと多ければ純烈とかここで歌っていたのかもしれませんね。
舞台で何もやらない代わり、夜は噴水ショーがあるのがここの売りです。
18時、19時に行われるようです。
場内からはこのドアで外に出るわけですが、ドアはどうみても防火・非常ドアの類で、
普通の施設でお客さんが自ら開けるドアではないですね。
なんだかなあ・・・
お客さんが求めているものを取り違えているような。
お子様用に遊び場がありますが、利用者はいません。
館内は全体的に暗く、ややお化け屋敷寄りな印象です。
熊野神社もあります。
さすがに他に使いみちがなかったのかと思わずにいられません。
街の中心の舞台の裏には個室がありますが、利用には6000円かかります。
他のお客さんがほとんどいないので、借りるメリットがあまりありません。
この他には土産物屋(おそらく二度と開かない)、エステサロン(客が入るか心配)、子ども用おもちゃ工房がありました。
活気のない街を堪能した後、ようやくお風呂に入ります。
そもそもですが、千葉県のスーパー銭湯は温泉であることが当たり前という認識があります。
これは意外と県外の人には知られていないのではと思います。
成田周辺はわりかし温泉が多く、実際に空港に近いホテルでも温泉に入れるところがあります。
ですが、ここは普通の水を沸かしているだけのようです。
これがリピーターを生まず、お客さんが少ない根本的な原因だとは思うんですけどね。
浴室の画像は当然撮影不可なのでありません。
浴室は結構広く、一般的なスーパー銭湯に並ぶかそれ以上の広さはあります。
洗い場は20人分ぐらいはあり、パーティションで仕切られたスペースも広いほうだと思います。
浴槽は8つあり、
内湯は巨大なもの、マイクロバブルの円形のもの、低温のもの。
外湯は岩場の大きいもの、3人ぐらい入れそうなつぼ湯が3つとなっています。
これが温泉だったら言うことなしの構成です。
私が風呂に入っている間のお客さんの入りはというと、
隣のホテルに泊まっている方も入りにくるので、全くのゼロではないのですが、
数としてはかなり少なく、多くても自分を含めて4人程度がそれぞれ別の浴槽に入っている感じです。
30分もいれば、1人になることもしょっちゅうです。
そのときは、広大な入浴施設を1人で満喫するという、たまらない経験ができます。
お風呂から出て涼みます。
誰もいないので、そのへんで横になります。
ちなみにスーパー銭湯では定番となっている、リクライニングシートで横になってテレビを観るような部屋はありません。
そういう部屋はスーパー銭湯の醍醐味だというのに、それが無いのはちょっと・・・ね。
お風呂を出て、街並みを抜けて外に出ようとすると、
古臭い温泉施設のような大きいテレビと、それに向かってソファーがいっぱい置いてある部屋を通り抜ける必要があります。
他には美術品が並んだ通路もありましたが、ちらっと見た感じでは著名な先生の作品という感じはしなかったので、あまり見ませんでした。
入口から入ったロッカールームに入って着替えてカウンターで精算、退出となります。
ひとまず私が感じた、良いところ、悪いところを箇条書きにします。
【良いところ】
・広いのに人が少ない
・豪華な施設、ホテル仕込みの清掃で清潔
・タオル込みなので割安な料金(オープン当初は高かったので今だけかも)
・洗い場のボタンプッシュで出る水の排出時間が長い
・歯ブラシが無料
・駐車場が広く駐車に困らない
・食事も全体的にリーズナブルで、お金を使わせる雰囲気を感じない(浦安○○鏡はひどいです)
・浴場内もやたらと自動ドアが多い。手動ドアがほとんどありません。コロナ禍でも安心。
・空調は良いかもしれない
【悪いところ】
・温泉ではなく、水を沸かした湯である。
・湯上がりでTVをみながら横になる場所がない(リクライニングしないソファーはあります)
・スタッフを見ると気の毒に感じてしまう(モチベーションが維持できるか心配になってしまう)
・活気がない
・ロビー、街並みエリア、風呂エリアを除くと古びた温泉旅館の施設っぽい(前述のテレビ部屋、美術エリアとかがある)
・交通の便が厳しい
こんな感じでしょうか。
確かに初見のインパクトはすごいのですが、また来てみたいかというとNO、です。
再訪した際、初見のときより新たに得られるものというのが全く感じられないんですよね。
この先、この施設が上がり目になるためにはどこをどうすればよいか、となると、
まず、ホテル宿泊者用の入浴施設という役割を兼ねている以上、
それに足をひっぱられてまともに改良することはできないのではないでしょうか。
たとえば混浴にしたり、ぎょうざの満洲ホテルのように飲食をくっつけたりもできないですし。
そして、豪華な設備が祟って、維持費が大きそうです。
ホテル側もこの施設を持て余していて、近い将来に閉めてしまう可能性があります。
再度申し上げますが、そうならないうちに早めの訪問をしておいたほうが良いと思います。
以上、東京湯楽城をお送りしました。
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