File 268 ギャラリーハルジ

四街道の市街地のはずれにある廃業した歯科医院が、
ギャラリーに姿を変えて開放されているという。
はたしてどうのようなところなのか?

【物件名】ギャラリーハルジ
【所在地】千葉県四街道市大日868−3
【HP】ギャラリーハルジのHP


2020/1/19 訪問

ここ半年は休日を美術館や博物館通いに使うことが多く、
つい先週はサトエ21世紀美術館に行ったついでに、ワクイミュージアムに行ったりしていました。
そして今週も美術館を探し求めて、Googleマップを開く。

Googleマップは大変便利なもので、探したい場所がすぐみつかりますが、
一方で誰かが登録しないとそこが何であるかわからない、というデメリットもあります。

するとこの日、オープンして1年経って初めてレビューがつき、表示されいてた美術館に気が付きました。
場所は四街道の街はずれ、名前は「ギャラリーハルジ」。
この場所は自宅から20分もあれば行けてしまうので、見つけたその日に訪問してみました。



この場所へのアクセスの目印としては、
四街道駅から北上していくとある「盲学校入口」の交差点。
四街道の市街地の最北端とも言えるエリアで、駅からはかなり離れています。



「盲学校入口」の交差点のすぐ隣に、その物件があります。
看板も何もない白い建物ですが、オーナーによると、昨年の台風の際に看板が飛んでしまったとのこと。
それは仕方ないですね・・


その看板の代わりに、窓の部分に「ギャラリーハルジ」の文字が掲げられています。

窓の手前は自転車用の駐車スペースがありますが、
建物の南側には車が5台ぐらい停められそうな駐車場があります。

前述のとおり立地は正直よくないのですが、それは公共交通での話。
車での訪問なら、何の問題もありません。



入口。銅製の看板が掲げられています。
以前、ここには診療時間等が掲示されていたのではないかと想像がつきます。


オープンは11時、クローズは17時。
休日は月曜日、火曜日です。

では入ってみます。



入口からすでに、元歯科医院だったという雰囲気が漂っています。
玄関、受付、待合所、マガジンラック、下駄箱とスリッパ。どれをとっても歯科医院のそれです。

その受付に、この場所のオーナーである女性がいらしたので、
観覧したい旨を伝えて、スリッパに履き替え、上がります。

このギャラリーの由来はというと・・・

歯科医院を経営していたスタッフが高齢になったことが理由で、2年前の3月に閉院。
しかし、建物をそのまま遊ばせておくのももったいないということと、
営業していた頃から院内に美術品が多く飾ってあったぐらい、美術が好きだったそうで、
1年前に芸術家を招聘するタイプのギャラリーとしてオープンしたそうです。



この日のギャラリーに展示されていたのは、junko oishi先生の作品になります。
銅版画や鉛筆の作品、キャンドルの制作をされている作家です。
junko oishi先生のHP

ギャラリー内の作品を撮影することは、普通論外なことなのですが、
この日在廊していた先生とお話ししたところ、承諾をいただけました。
ありがとうございます。

この日の展示作品は、いわゆるインスタ映えするような、良い色合いです。
ギャラリーの外壁の白さと相まって、元歯科医院とは思えないぐらい良い空間が演出されています。

junko oishi先生による展示は2月6日まで行われておりますので、
興味がございましたらぜひお越しください。



今回のjunko oishi先生の展示は、歯科医院の間取りをうまく生かした展示となっており、
こういった部屋もきっちり利用されています。

歯科医院としての治療器具はすでに撤去されていますが、
レントゲンの機械が設置されていたという部屋には、その痕跡が残っています。
放射線を外に逃がさないようにする、鉛を仕込んだ外壁があらわになっています。

とまあ、こんな場所でした。

こういった街はずれの個人ギャラリーは、
たいていオーナー自身が収集したコレクションを公開するタイプ、
つまり自己満足の場となっているところが多い印象があります。

この「ギャラリーハルジ」は根っからの芸術好きのオーナーが、
スペースを芸術家に利用してもらいたい、というような形で運営されていますので、
1か月に1回ほどのペースで、オーナーがセレクトした作家による展示替えが行われています。
これは規模を考えると、かなりハイペースな頻度だと言えます。

今年は東京駅前のアーティゾン美術館、新宿駅前のSOMPO美術館といった
巨大美術館のオープンが続いていますが、それらの美術館で大作ばかり見ていても、
美術に対する造詣は養われません。

静かで訪問しやすく、その上で身近で、頻繁に展示品が入れ替わるギャラリーは、
1か月に1回訪れるだけでも、1つ1つの作品に向き合って良い時間が過ごせる、
素晴らしい場所だと思いました。オススメです。

以上、ギャラリーハルジをお送りしました。

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