File 266 中村順二美術館

国道16号の渋滞エリアのロードサイドに建つ、
とある絵描きの名前をを冠した美術館。
はたしてどうのようなところなのか?

【物件名】中村順二美術館
【所在地】千葉県柏市大津ケ丘1−14−5
【HP】中村順二美術館のHP※直近の更新はないようです。


2019/11/21 訪問

芸術の秋の真っただ中のこの時期。

私はわりかし美術館や博物館を訪問しておりますが、最近ビックリした展示がありました。
千葉市美術館で行われていた「非常にはっきりとわからない」展。



これはもう意表を突く展示で、度肝を抜かれました。美術の概念のレベルで考えなければいけない、アイデアの勝利です。
オススメはしにくいのですが、応援する意味でもネタバレを知らないうちに訪問してほしいところです。
期間は2019年12月28日まで。

この衝撃もあり、本来の博物館好きから、美術館寄りになりつつある状態でありました。

休暇は芸術鑑賞の日々を過ごす中、平日に休む機会が訪れたので、
以前から気になっていた美術館を訪問してみることにしました。

名前は「中村順二美術館」。


千葉の大動脈、国道16号の大津ヶ丘あたりにあるとのこと。
ロードサイドに大型店がわりと集まっているエリアなのですが、
検索して場所の当たりをつけたが、その付近を通ってそれらしきものは見かけたことがないような・・・

そもそも「ちBポ」なんてホームページをやっていたら、国道16号なんてガンガン通っているわけだし、
気が付いたらいつでも行けそうなのになんで今更?と思うかもしれない。

その訳といいますか、言い訳から始めるとします。



国道16号大津ヶ丘付近、柏から八千代方面への風景です。

車のディーラー、ジェーソン、ハードオフ、
レッドバロン、アップガレージ、セカンドストリート、飲食店の集まりなんかがあり、
このあたりのお店を目的としてここを通る方も少なくはないと思います。

ところが、これらのお店が目的ではなく、この界隈を通るだけだと、目にとまっても非常に寄りにくい。
走ってみるとわかるのですが、この場所の手前とその先は渋滞ポイントになっており、
「ようやく流れがよくなってきた」と実感することができるエリアなんです。
なので、「流れがよくなったのにまた止まりたくない」とそのまま通りすぎてしまうことが多いんですよね・・・


いいわけはそこまでにして、左手の車屋さんの隣にある、目的の場所へ向かいます。



前述のとおり、ここは流れが速いので、
一瞬でこの建物が何であるかを判別するのは難しいと思います。

一応こちらからでも駐車場があって入れますが、車の切り返しが難しいこともあり、
バイクでなければ、建物の裏側から入るのがお勧めです。
再度言いますが、流れがかなり速いので、入る前に追突事故なんてあったら目も当てられません。

というわけで、この場所の手前かその先の交差点で左折して、
裏側に回ってください。(とはいえ、道を見つけるのはなかなか難しいです)



裏側に回ってみると、こんな感じの建物となります。
16号側からの見た目に比べると、いかにも美術館という形状がみてとれます。

2つに別れた建物の左手がカフェ、右手が美術館となっております。



入口に「中村順二美術館」とあります。
そして「Cafe Arte」ともあります。

営業時間は意外にも長めで、午前10時から午後6時。
休館日は月曜日と火曜日。土日祝日は営業しています。

入ると、平日の午後というこの時間帯で、お客様は2組3名。
入りにくさを考えると、意外に思えました。
勝手な先入観から、お客様はゼロかな、と思っていたので・・・


まずはカフェ側のほうに進み、接客している老夫婦に、絵画を鑑賞したい旨を伝えると、
もう一方の建物まで案内してくれて、少々の説明の後は好きなだけ見ることができます。

なお、入館料等は無料です。

というわけで、まず美術館のほうを回ります。



中村順二さんはダウン症の絵描きで、27歳で亡くなり今年で没後20周年となるそうです。
察しのとおり、カフェを切り盛りしている老夫婦の息子さんになります。

生前に残された絵画を観ると、なるほど、評価される理由もわかるような気がします。

強い色調の変化を嫌っているのか、
たとえば黒と黄色、青と白、赤と白等の交通標識でよく使われるような、目を引く色の組み合わせがなく、
全体的に柔らかい色調で対象物を描いています。

そのため、どこに飾っても強い刺激はなく、
インテリアに同化しておしゃれな雰囲気を醸し出す感じがします。
過去にNHK等による取材があったようで、世間的にこの美術館は認識されているようです。

鑑賞が終わったら、カフェのほうに移動します。
カフェのほうにも中村順二さんの小品の作品が展示されています。

メニューは基本飲み物中心ですが、、飲むならホットコーヒーが無難かと思います。
ホットコーヒーは400円です。



美術館のカフェらしく、きちんとした陶芸家による陶器で提供される手淹れコーヒー。
和菓子と柿付きでこれはリーズナブル。
カフェの空間は単なる居抜きの建物ではなく、美術館とカフェとして建築された建物であるため、
面白い空間となっており、居心地がよいです。

老夫婦も美術への造詣が深く、順二さんについて問いかけると積極的に応えてくれるので、
なんだかスナックバーにいるような気分になります。

また、3か月毎ぐらいにこのおしゃれなカフェ空間を生かして、
新鋭芸術家の作品展示会や障害福祉的なイベントを行っているようで、
芸術発信の拠点としても、かなり活躍しているような場所でもありました。

とまあ、こんな場所でした。

流れが速くて通り過ぎてしまうような場所に立っている美術館は、
意外にも多くの方に支持されている場所でありました。

いつも人が居なくて、館主の気分で空いたり閉まっていたりする美術館を連想していたのですが、
それとは真逆で、老夫婦の熱意が伝わる、雰囲気のよい美術館でありました。

以上、中村順二美術館をお送りしました。

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