File 262 圏央道高滝PA付近の陸橋入口

2015年に千葉県東南部に全面開通した圏央道。
最後まで開通が遅れた地域では今現在も抗議運動が行われているという。
はたしてどのようなところなのか?


【所在地】千葉県市原市不入 付近
【HP】南市原の地域情報


2018/07/XX 訪問

私がバイクに乗るようになってから今まで、「高滝ダム」周辺の道路をよく走ってきました。

「高滝ダム」に来る最大の意味は、千葉県のほぼ中央に位置していること、
そのために東西南北に分かれている友人が同じ距離を走れば、
合流するのが最も簡単な場所であったからです。

それとは別に千葉都市圏から続いている渋滞がなくなるため、
バイクにとって走りやすい道が続く、といった要因もあります。

今回のレポは、そんな高滝に向かう時の道にある物件です。

異様な様子を感じた頃から通るたびに気になっていたのですが、
こういった紛争現場には、たいていヤバイ筋が絡んでいたりするという先入観もあり、敬遠していました。

ところが、圏央道が開通して数年経過しても、その場所からはそれらがなくならず、
むしろ少しずつ「怒りの度合い」が高まっていることに気がついたので、本腰を入れて調べてみました。
なぜそのようなことが起きているのか、次に通った時に確認してみることにしました。

そして2018年の夏。初めて現場へ。



こちらは高滝湖〜上総鶴舞ICの間を結ぶ道路。

「市原ぞうの国」の大型駐車場へのアクセスにも利用される道路でもあります。
その道路の途中、圏央道の陸橋と立体交差している場所があります。



その付近に、バリケードと看板で陸橋の入口を囲い、
工事業者を寄せ付けない空気を作り上げている場所があります。



看板は屋外に長時間置いているにもかかわらず、真っ白で状態がいいので、
頻繁に巡回して清掃しているのかもしれません。



看板はいっぱいありますが、
「国交省とネクスコが騙した、嘘ついた」あるいは「約束を守れ」という、
2つの主張しかないことがわかります。



陸橋の前のアコーディオンドアは施錠されていますが、
工事車両が通れなければいいというレベルで、厳重なものではありません。



陸橋を別アングルから。
橋の上部の鉄板の状況からして、圏央道が完成したら撤去する性質のもので間違いなさそうです。



陸橋の長さはそれほどなく、すぐ目の前にある圏央道の橋げたの工事のみが目的であることがわかります。



さらに別アングル。下側に回ってみました。



橋を支えるトラスト状の構造が美しい。
圏央道を作るだけのために作られたものですし、構造も簡素なものですから、
気が付いたら撤去まで終わっていた、なんて可能性もありますね。




橋の下部までのアクセスは厳重といいますか、
通過するとよからぬことが起きそうなギミックが設置されています。

はじめは害獣防止用の電気柵かと思ったのですが、
設置されているところがこの橋の下へのアクセス路のみ・・・


この周辺のgoogleマップを見てみたら、なかなか面白い画像がありました。



工事中の陸橋への入口付近の画像ですね。

警備員の横の看板をズームしてみると・・・



周辺を通る方への注意ではなく、現場作業員への注意書きです。
この地域の問題に対し、かなり神経質になっていたことがわかります。


さて、本題。ここでは何が起きていたのか。


このレポを書くにあたって、一番の情報元となったのは、
抗議運動を行っている方のWEBサイト、南市原の地域情報になります。

そのサイトがまあ、5chのコピペかと思うぐらい読みにくい。

原因は行動録のような形なので、一番重要な「伝えたいこと」がどこに書いてあるかすぐにわからず、
現場にある看板の印象、そしてWEBサイトのカラーリングから、
統合失調症にありがちな電波文書のを読むような目で眺めてしまいそうです。
でも、ある程度読み進めてみると、わりかし普通の文章であることはわかりますが、そこまで読む気力が・・ね。

そんな反対運動サイトの文章を要約して、起きていることを説明します。
(本当に簡単にしただけです。この事が重要なのに入っていないよ、と突っ込まないでください。)

担当A「圏央道作るよ、承諾してくれない?協力してくれない?あれこれ約束します。」
高滝住民「過疎地だから願ってもない話。承諾します。約束も好条件だし。」

担当A「圏央道付近の土地、調整区域に変更するね。
そうじゃないと周辺がそれを狙って開発されちゃって、地価があがって国が買えなくなるから。」
(※調整区域にされると国以外の手による開発ができないため、必然的に値段が下がる)

過疎を防ぐのが目的なのに本末転倒だと高滝住民が反対運動。

道路が作れないと話にならないので、和解。
道路幅分の土地のみ「調整区域」に変更して建造する形となった。この件で最初の遺恨が残る。

異動で担当Aが担当Bに変わる

担当B「土地を売れ。工事進めさせろ。Aと約束があったの?シラネ」
高滝住民「Aととりつけた約束は引き継げよ・・・」

異動で担当Bが担当Cに変わる

担当C「土地を売れ。工事進めさせろ。A、Bと約束あったの?シラネ。」
高滝住民「AとBもちゃんと約束を引き継げよ・・・」

異動で担当Cが担当Dに変わる

担当D「なんで土地も工事も話が進んでないんだよ。「土地収用法」適用な。」
高滝住民「AとBとC、すべてに違う約束を取り付けたのに話が違う・・・」

その後も担当者は代わり続け、約束事を無視されたり、
話し合いしても決めたことがリセットされる状態が続く。

すったもんだあったが、結局圏央道は完成

高滝住民「とりあえず約束まもって」
関わった団体「完成したのになんで俺らを訴えるの?担当者はもう定年退職で逃げ切るから今のヤツは関係ねーよ」
高滝住民「もう年とりすぎたし疲れた。末代まで呪ってやる」


若干ニュアンス等を脚色していますが、だいたいこんな感じで、
歴代担当者との約束が度々リセットされて、
最初の条件に比べてどんどん悪条件になっていったということです。

それだけなら、今の担当の方が歴代担当との約束を守ればよいだけかと思いますが、
上記の抗議運動のHPを読む限りでは、最低レベルに近いほど不誠実なんですね。

〇過去の不手際について全く謝罪なし。これはよくない。

〇最初は「この土地はいくらで買います」と言ってきたが、少しずつ値段を下げてきて、
最初に掲示した値段で売らないのと問い詰めたところ、最終的に土地収用法適用したことで怒りを買った。
(最初の掲示はおそらく「圏央道建設の承諾」を得るためだけのブラフの可能性が高い)

→土地収用の金額がコロコロ変わっているため、国として正規の方法で承認をとりつけにくい

〇工事の後始末なし。山河を切り崩して高速道路の陸橋を建てたりトンネルを掘ったが、
完成後の周囲の環境的なフォローがないので、杭がうちっぱなし、水が氾濫したりしている。
ただし、これには作る側の言い訳もあり、前述の都市計画で「調整区域」が道路幅のみの変更となったため、
道路からちょっと離れた周囲の保護工事に着手できない

〇高滝SAを作ってもらって周辺地域を活性化することが、工事了承の動機の1つだったが、
PAになったために現在は何の活性化もされていない。
おそらくだが、PAに変更された理由を反対運動をしている側の立場でなく、
作る側として考えると、いちいちつっかかって工事を進めさせてくれなかった、
高滝住民に対する復讐だったのではないかと思う。


とまあ、こんなことがおきているところでした。


圏央道は今後全線の片側2車線化が進んでいくかと思いますが、
この現状を知ってしまうと、さすがに高滝周辺の道路に関しては無理なように感じます。

このままだとおそらく高滝周辺のみ片側1車線で、残りは片側2車線という形で完成となってしまいそうですが、
そんな不便な状態のままとはせず、これらの問題を早期解決して、
圏央道と共に発展を目指していったほうがいいような気がします。
今後の続報が待たれるところです。

以上、圏央道高滝PA付近の陸橋入口をお送りしました。

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