File 260 ニーズセンター

千葉県内のみならず、全国のライダーに絶大な知名度を誇る、
有名バイクショップが、夜逃げ同然の形で閉店。
その裏では巨額の投資トラブルが発生していたという。
はたしてどのようなものなのか?

【名称】ニーズセンター
【所在地】千葉県柏市新柏4−7−6
【HP】ニーズセンターのHP(工事中と表示されます)


2018/10/18 訪問

2018年10月初旬、バイク仲間から、
千葉県柏市にあるバイクショップ「ニーズセンター」が潰れたという情報が流れてきました。

ライダーにとって「ニーズセンター」は、千葉県どころが全国区でも、
「行ってはいけないショップ」としてトップで名前が挙がるほど有名なお店でした。

名前が全国区になったのは「ヤフーオークション」にて、
バイクショップなのに粗悪品を大量に出品していたためです。
その結果、落札者からつけられた評価はどれも悪いものばかり、そのために有名になってしまったというわけです。

ただし、状態が悪いものを高額で売りつけたというわけではなく、
悪いものを相応の値段で販売しているというスタイルなので、
私の観点では、買いたくはないお店ですが、悪徳なお店とまではいきませんでした。
むしろマイク&エドが再生するような、レストアベース車両を販売しているお店、という認識でした。

実店舗も当然訪問したことがあり、取り扱っているバイクをひととおり見たことがありますが、
珍走団に乗られるような様式ではなく、乗れるように整備すれば車検は通りそうな一般的なバイクばかりでした。
ただ、黒い樹脂が風化して真っ白になっていたり、メッキのサビがひどいものだったり、
販売形態が現状渡しの商品ばかりだったりと、ツッコミどころ満載でしたが。

国内のメーカーについては不明ですが、海外メーカーの新車バイクを展示販売していたので、
少なくとも不正を犯して儲けているようなショップには見えませんでした。

しかし、このお店の「下地」は決して良いものではありませんでした。
実際に起こった事件のようですが、ソースがはっきりしていない以上、実名は名誉棄損になる可能性がありますので、
事件の舞台となったバイクショップ名をイニシャルで「K事件」としておきます。

この「K事件」の顛末はどのように決着したかが不明なのでコメントできませんが、
関連した人物が別の場所で始めたバイクショップが「ニーズセンター」になるようです。
調べたところ、ニーズセンターは平成2年8月のオープンで、今年まで28年ほど営業していたことになります。

前述の悪い評判がありつつも、客観的に見れば一般的なバイクショップの体をなしており、
バイクに乗るといったニーズには応えられるお店でした。

それが2018年9月初旬、「ニーズセンター」が突如閉店しました。
告知もなく、夜逃げのような形で。

その報を受けて数日後、訪問してみました。



繁華街ではなく、大き目の戸建てが並ぶ閑静な住宅街の大通りに面する立地で、
バイクを停めるという意味ではわりかし良い場所だったと思います。
ただ、そこに行くまでに渋滞の名所がいくつかあり、頻繁には行きたくない場所でした。



御覧のとおり、シャッターが閉まったまま。
破産だったりすると、弁護士の文面がわかりやすい場所に貼ってあったりするのですが、その様子もありません。



網から中をみてみる。
シャッターの中もがらんどうで、中に陳列されていたバイクどころが、
接客用のテーブル椅子、整備用の工具等も全くなさそうです。

裏に回ってみます。



裏口です。

実はこの裏口のすぐ近くに「彌惣治文庫」なる物件があります。
以前から訪問を考えているのですが、いつも閉まっており、未だ謎の物件となっております。



裏口からみても完全にも抜けの殻です。



少しズームしても風景は何も変わらず。屋内には静けさが漂っています。





その後に調べてみたところ、
ニーズセンターは「トライクオーナー投資」に関係したため夜逃げしたのでは、
という状況であることがわかりました。

現段階では係争中で、双方に言い分があるので、
詐欺なのか、事業失敗のための踏み倒しなのかを判断して書けません。
当HP閲覧者皆が客観的に本件を判断できるように、両方の言い分を考慮して記載します。

事の発端は、会社Oが行った「トライクレンタルビジネス」です。

会社Oが、出資者Aを勧誘します。
出資者Aはトライク(中古)をニーズセンターで購入。
トライクはレンタル代理店を経由して、リゾート施設でレンタルトライクとして稼働。
レンタル代理店から会社Oを経由して、出資者Aにレンタル料が振り込まれる。
トライクのローン支払いよりレンタル料による収入のほうが多いので、Aは損しない。
そしてローンを払い終えたら、トライクはAが自由にできる。

そんな感じです。
ところが、今年に入ってレンタル料金が振り込まれず、
出資者はローンを払い続けているだけ、という状態が続いているそうです。
それに追い打ちをかけるのが、レンタル代理店がつぶれたのでトライクそのものが回収できない、という状況なのです。

支払いが破綻した会社Oの言い分
(というより融資分を回収したいローン会社の言い分)

2018年6月頃まで、出資者にレンタル料収入は振り込んでいた。
でも運用状況が悪化して振り込めなくなった。
自転車操業状態ではあったが、詐欺の意図はない。
トライクが返せないのは、レンタル代理店がつぶれたからであり、私の責任ではない。
これらは投資失敗に相当するので、ローンが残っていても投資者として払い続ける義務がある。




被害者の言い分

元から詐欺だった。
そもそもトライクが自分の名義で実際に存在するか、わかっていない。
レンタル代理店へ車両を確認に行こうとしたら、レンタル代理店は倒産しているため車両は行方不明だと言われた。
オーナーが購入したと思われるトライクがヤフオクに出ていた。
オーナーが自宅に不在のときを狙って、自宅前で車両とともに「納車の証拠写真」が撮られていた。
一部オーナーは「軽自動車税の支払い通知」が自宅に届いていなかった。(名義が自分のものでないという証左)



これを踏まえて上の文章を書きなおすと・・・

まず会社Oは出資者Aを勧誘します。
Aはトライク(中古)をニーズセンターで購入。
ただしこのトライクは赤の他人のもので、名義は変わらないのに、このトライクを買うためのローンを組まされる。
トライクはレンタル代理店を経由して、リゾート施設でレンタルトライクとして稼働。
しかし、すぐにニーズセンターに戻されて、次の被害者のローンを組むために使われる。
レンタル代理店から会社Oを経由して、出資者Aにレンタル料が振り込まれる。
最初のほうは振り込まれるが、2018年になってから止まったという出資者がいる。
ローンは本件の投資が始まった2015年から7〜10年ほどの契約なので、
ローンとレンタル料が相殺できたのは最初の3年分ぐらいで、残りは自分で払うことになる。
そしてローンを払い終えたら、トライクは自由にできるはずだったが、
自分の名義ではないので、被害者Aのトライクはもともと存在しない。

これはほんの一例で、複数のパターンがあるようです。

双方の言い分のどちらが正しいかは係争中ですので、私のほうではコメントできません。
当然会社Oとニーズセンター側が正しい可能性もあります。

係争中であれば、営業はまだ続けられそうなものですが、
被害者とされる方々から、契約無効を理由に支払のストップをローン会社に何度も訴えた結果、
いくつかあるローン会社のうち一社による店頭の商品の差し押さえが行われ、
商品がなくなったため営業ができず、夜逃げしたようです。


「ニーズセンター」としての28年間営業後、突然の閉店。

会社Oによる一連の詐欺に巻き込まれた被害者なのか、
それとも、「K事件」で吸っていた甘い汁の味が忘れられなかったのか。

28年間の雌伏で得た信用は、この事件にかかわったため、水泡に帰してしまいました。

twitterによると出資者による「トライク詐欺」の訴訟準備が行われているようですが、
その結果がどうであれ、名を馳せた「ニーズセンター」は二度と蘇らないでしょう。

以上、ニーズセンターをお送りしました。

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