File 254 横利根閘門(よことねこうもん)

利根川大改修に伴い1921年に作られ、
今もなお現役の治水施設。
その動く様を見ることができたのでレポ。

【所在地】千葉県香取市佐原二&茨城県稲敷市西代の県境
【交通手段】JR佐原駅から車で10分程度。
【HP】稲敷市のHP


2016/10/15 訪問

私が千葉県の中で、落ち着けるので好きだと思える街は、銚子と佐原です。

この2つの街はわりと訪問していまして、
現地のグルメをいただいて人が少なめの観光地で過ごすことが多いのですが、、
佐原のほうで、何度も行っているのにも関わらず、なかなか目的できていないものがありました。

それは、利根川と横利根川の間にある、水門が開く場面を目撃すること。

ただの水門ではなく、重要文化財でありながらも現在も現役で動作しているものです。
その物件の名前は「横利根閘門(よことねこうもん)」と言います。



この物件の場所ですが、この画像の通り。
まだ新しいにも関わらず、知名度が高い「道の駅さわら」が左下に見えますが、
そこから橋をわたってすぐのところにあります。

そして、その物件がある公園の住所ですが、利根川の堺にある治水施設ということもあり、
千葉県と茨城県の2つの県にまたがっていて、県境が公園をまっぷたつにするようにあります。



というわけで到着。
この物件がある場所は公園で、「横利根閘門ふれあい公園」になります。

この日はかなり天気がよく、河川の反乱もなく、利根川とその支流は穏やかに流れている状況です。
つまり、この水門の機能の1つである「水位調節」は実行されない可能性があります。



公園MAP。
大半の面積が横利根閘門のために使用されています。

この公園自体は緑が多く居心地はよいですが、
基本は公園としての利用より、釣り目的で訪れている方のほうが多いかもしれません。



そして閘門(こうもん)についての説明。

利根川と横利根川の間に2つ門が設置されており、これを開閉することにより、
船が通れてかつ、霞ケ浦由来の水害のもとになる水位の差をカバーする機能があります。



動作の流れ。
サイエンス番組でパナマ運河の仕組みについての解説を見たことがあれば、
ピンと来るかもしれません。基本は同じ仕組みです。

門を開けて船が入る→船を待機させた状態で門が閉まる→水位調節実施→行先の門が開く→船が出る

という流れですね。




横利根閘門の中央部。
水位を変えるとき、あるいは門が空くの待ったりするスペースですね。



こちらは利根川方面。

この横利根閘門のさらに上を行く水門があり、
横利根方面からの氾濫、あるいは逆流をばっちりブロックできます。



こちらが横利根川方面。
河川沿いに釣り船宿が多く、この日も釣りで賑わっていました。

景色を眺めて、釣りをしているのを眺めていると・・・何やら機械の動作音が!
これは門が動くのでは!

急いで移動すると、利根川から船が横利根川に入るようです。



歯車だらけのからくり城的なシチュエーションで響かせるような音とともに、
門がゆっくり開いていきます。



門の内側と外側では、水位に差があるようには見えません。



門が完全に開き、船が入ってきました。



そして門から少し進んだところにある操作盤のようなものに近づいて、
なにやら操作しています。



操作していたのはこんな感じのもの。

ぱっと見では、上から2つ垂れているロープのうち、「通船要求」のほうをひっぱれば、
来たほうの門が閉じて、水位調節、行き先の門が開くの一連の操作が行われる感じだと思います。

この盤の左側のランプのところは、水位調節のランプが点滅しています。
この時、来たほうの門は完全に閉じていました。
どうやらこんなに天気がよくても水位調節は毎回行われるほど、利根川と横利根川は水位の差があるみたいです。



機械の動作音とともに、行き先側の門が開き始めました。



レンガや木材に、わりと新しいものが使われています。

それもそのはず、1994年に最初の復元修復工事が行われています。
さらに2000年に重要文化財、2006年に歴史公園100選に選ばれましたが、
そのどちらかのタイミングで、再度補修が入っているのではと思います。



門が完全に開いた後、信号が青になりました。
待機していた船は航行を再開して、進んでいきます。



そして門の外にある装置を操作しています。(ロープをひっぱっているのが確認できます)
門が閉まりはじめると、閉まりきるのを待たずに船はそのまま行ってしまいました。



機械の動作音とともに、門が閉まっていきます。
実際に見ていると、軽く閉まっていっているように見えるのですが、
水流を止めることができるほどのものですから、かなり重量がある戸なのではと思います。



動作音が止み、少しカーブした状態で門が静止しました。
門の上の板がぴったり合っているのを見ればわかりますが、
この若干隙間があるように見えるのがデフォルト位置のようです。



元の静けさを取り戻した、横利根閘門。

開門前と開門後で水位が変わったのがわかる写真ないかなと思ったのですが、
残念ながら見つかりませんでした。もっと天候が悪いときなら差が感じられるのかも。



2000年に重要文化財に認定された際の証書。
形だけしか保存していない文化財と比べて、動く状態であるどころが現役なのが素晴らしいと思います。
この大がかりな仕組みに代わるような、現代的でかつ効率的な水門もあるっちゃあるんでしょうが、
この場所は古い形のまま残り続けてほしい、そう思える良物件でした。


なお、この一連の動作によってこの場所を通過する船は、1年に1000隻ほどだそうです。
365日で割ると、1日2〜3隻が通過する計算になります。
1日中この場所に居ても、かなり長時間粘っていないと見れない数字なのではと思います。

そういう意味では、私が今回見ることができたのは非常にラッキーなのではと思います。
開門を目撃するまで居座るのであれば、釣り道具を揃えて、糸を垂れながら待つのが楽しいんじゃないかなと思います。

以上、横利根閘門をお送りしました。

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