File 249 地球磁場逆転期の地層
房総半島中央部のとある川沿いに、
世界でも稀な太古の大規模な地球変動を示す場所があるという。
はたしてどのようなところなのか?
田渕会館
【所在地】千葉県市原市田淵1165
【交通手段】車かバイクで。
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2015/09/06 訪問
2015年8月4日。
世界の著名な地質学者が、千葉県のある場所へ視察にやってきました。
彼らが所属する団体は「国際地質科学連合」。
わざわざ千葉県に来てまで観に来たものは「地球磁場逆転期の地層」。
世界で同様のものはイタリアの2か所でしか見つかっておらず、
イタリア2か所と日本の合計3か所のうち、世界の標準を示すポイントを前述の学者たちの会議で決定します。
もし日本が選ばれた場合、その地層は「チバシアン(千葉時代)」と名付けられるそうです。
というわけで、その地層を観にいってきました。
上総牛久駅から養老渓谷まで続く道を進んでいき、
月崎駅への交差点を直進、大きなS字カーブを抜けると、
道路幅が広くなり、路面が新しくなる場所があります。
その手前に、左手が2つのゴルフ場への道、
右手のほうにカーブする坂道が見えます。
その右手のほうをよく見ると、目的地である「田渕会館」の看板がたっています。
看板通りに曲がり、坂をのぼっていきます。
すぐに道路がY字型に分かれています。
分かれのところに立っている看板には「地球磁場逆転期の地層」と書かれています。
左に入ってすぐの場所が田渕会館で、見学者用の駐車場になっています。
車を停めて、入口に立ちます。
日の丸と、今回のライバルであるイタリアの国旗がなびいています。
なにやらいろいろ貼られているで、みてみます。
現地までのおおまかな距離、車で入れないこと、長靴が必要なこと、
そして「地球磁場逆転期の地層」は「白尾層」と呼ばれていることがわかります。
もう一方のほうは完全に英語だけの紹介文のみ。
1か月前の地質学者への説明用ですかね。
とりあえず見てみましたが、少なくとも普通の勉強では習わない単語ばかりで難しいです。
ともかく現物を見ないとはじまらないので、先に進みます。
こんな感じの道が続きます。
よく考えると、この道が続く先には「地球磁場逆転期の地層」しか無いため、
研究用に敷設された道路になるんでしょうかね。
入口から徒歩3分ほどで、こんな感じの場所に出ます。
写真には写っていませんでしたが、
この日は見学用の周辺整備のためか、土木工事のようなものが行われていました。
彼らと少しお話しした後、さらに進んでいきます。
途中にあった看板。
すべってもころんでも自己責任。
正直、現場のイメージがわかっていないと、この看板を見てもどこにあるかわからないと思います。
整備中の川沿いまでのアクセス道。
これがまだ未完成なので、足腰の悪い方は行かないほうがよいです。
川沿いの場所に出ました。
養老渓谷沿いなので、養老川になります。
ここで長靴が必要になるとのことですが、
水がわりかしきれいなので、タオルと裸足で十分かもしれません。
川に入って30秒もしないうちに、左手の露出した岩盤に何やら発見。
どうやらここが目的地のようです。
岩盤に目をやると、赤い杭が連続して打ち込まれており、
地層研究が行われていることがうかがえます。
赤い杭のアップ。
おそらく1杭分で10万年の地層とかそういう感じなんでしょうかね。
この赤の杭だけしか見えないところから、奥のほうに目をやると、
赤、黄、緑の3色の杭が打ってある場所が見えます。
実は・・・
赤色→正常な地層
黄色→磁場逆転が発生していた地層
緑色→正常な地層
ということのようです。
おそらくこの先、赤の杭しかない場所に、黄色、緑色の杭を打って、
全体的にわかりやすくするのではないかと思います。
さて、「磁場逆転」とは何なのか。
まず基本的なこととして、地球には磁力があります。
北極がN極、南極がS極になります。
方位磁針が北を示すのはその磁力に従っているから、ですね。
そして不思議なことに、この磁力に従って地層が形成されていきます。
なので、この時代は北極がS極だった、この時代は北極がN極だったと調べられるんですね。
で、このレポにある地層は、北極がS極だった時代の地層なんです。
つまり、いまとは北極と南極が逆だった時代の地層、ですね。
「磁場逆転」は地球の歴史では過去360万年で11回逆転していることが確認されているそうで、
最後に確認されたのが77万年前のこの地層であることになります。
・・・で、素朴な疑問。
地球全体で起きていたなら、地球のどこでも見られるはずで、
イタリアと日本のごくわずかなポイントでしか見れないのはなぜ?
ということですが、正常地層→磁場逆転した地層→正常地層と連続して形成されたのが見れるのは、
相当にレアなケースで、世界を探してもほとんど無いようでその1つがここにあったと。
千葉ってスゴイ。
行きは坂を下りるから楽ですが、帰りはキツイ。
実は私がここを見学している間、ずっと白い犬がついてきていました。
入口近くに住んでいる方の飼い犬のようです。
・・・?
この地層って、確か白尾層とか言ったような・・・
白いわんこの尻尾という偶然のマッチング。
とまあ、こんな場所でした。
そもそも日本とイタリアは、この地層で何を競っているのか。
それは地質学者たちがみて「どちらが見やすいか」がすべてのようです。
それが現場の壁面の状態の良さなのか、
この場所への交通アクセスなのか、手すりなどのバリアフリー等なのかわかりません。
一応、市原市としてもこのあたりを整備を進めているようなので、
おそらくそういうのも審査ポイントに入っているかもしれません。
もし、イタリアより千葉のこの場所が見やすいという場合は「国際模式地」として認定され、
「ゴールデンスパイク」という物理的な杭がこの地層にブチ込まれるそうです。
そうなるとここは一躍有名な場所となり、観光の目玉ともなりえるでしょう。
ちなみにこれらの決定は2016年の秋となっています。
果たしてこの場所に「ゴールデンスパイク」が打たれるのでしょうか。
来年秋が待ち遠しいところです。
以上「地球磁場逆転期の地層」をお送りしました。
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