File 242 熱海輪店
大網の昔の街並みのを残す地域に、
不相応の建物を使用しているバイク屋があるという。
はたしてどのようなところなのか?
熱海輪店
【所在地】千葉県山武郡大網白里市大網686−1
【交通手段】車かバイクで。
【HP】ありません。
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2014/12/28 訪問
千葉県教育委員会のHPにて、千葉県の古い建造物のリストを眺めていたところ、
気になってしょうがない物件がありました。
それが今回のレポの場所「熱海輪店」です。
千葉県で文化財に認定されるような古い建物がある場所は、たいてい観光地に集中しています。
たとえば成田山の参道であったり、佐原水郷、大多喜だとか。
ところが今回の物件は、大網の市街地に建っているいるようです。
それも現在、バイク屋として営業しているというではないか。
というわけでこの週末訪問してきました。
こちらはJR大網駅。
画像のとおり、駅のロータリーから見ると、ホームがハの字になっています。
左側のホームは外房線で勝浦や鴨川方面行、
右側が東金線で、成東とか東金方面となっています。
駅のロータリーを出てまっすぐ進むと、丁字の交差点につきあたります。
そこを左に曲がり道なりに進むと、古い町並みを残すエリアまで行くことができます。
大網駅から北東方面、古い街並みが残るエリアです。
つい最近新築されたというような感じの建物がなく、
なんとなく昭和初期の雰囲気を感じます。
しばらく進むと、右への直角カーブの後、交差点があります。
その交差点を左に曲がってすぐのところに・・・
ものすごく立派なレンガ造りの建物の前に、バイクが並んでいる場所があります。
ここが「熱海輪店」です。
正面から。
もちろんバイク屋としてこの建物が作られたわけではなく、
もともとの建物は「千葉銀行大網支店」です。
大正10年頃(1921)に建築され、昭和45年(1970)まで銀行業務が行われていました。
建物の一番上の装飾。
当時の銀行建築の最大の特徴とも言えます。
時計が装着されていた跡があります。
大変でなければ大時計の装着にチャレンジしてほしいところですね。
入口のすぐ横には「登録有形文化財」のプレートがあります。
認定日は平成11年となっています。
解説文は以下のとおり。
木造2階建の銀行建築。
近年の改装で、モルタル塗石目地仕上げがタイル貼りに変ったが、
大正期銀行建築の骨格は旧状を留める。
パラペット中央にスクロールを従え、
中心に紋章飾りを据えた半円アーチのゲーブルを立上げて
ファサードに見せ所をつくっている。
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素人には「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」ぐらいの意味にしかわかりません・・・
入口。この軒下が大正浪漫を感じさせます。
実は外壁はもともとモルタル塗りで、洋風建築にありちな白い壁だったのですが、
レンガ風タイル張りでリフォームされています。
もともとの外壁がどういう状態だったかわかりませんが、
このリフォームは雰囲気が保たれていているので、正解なのかもしれません。
店内。バイクと自転車がぎっしり陳列されています。
さすがにバイク屋に向いていない建物で、バイク屋を営業している感じがあります。
上のほうは鉄と木の骨組みが交互見えていて、
その先には昔からの壁地が浮いています。
この建築が文化財になっている理由ですが、
「木造なのにがんばって西洋風にした」という技術がスゴイらしいです。
もちろん西洋で銀行業務に使用されている建物は石造りで、
普通に作ると巨額の費用が発生します。
日本古来の方法で木造骨組を作った後、
外壁も内壁もすべてモルタルで塗りつぶして石造り風にした、というわけなんですね。
当時の銀行という存在、そして信用獲得のためには、
見た目だけでも堅牢な建物にしてお金に関することは問題ないことをアピールする、
こういったことが必要だったんでしょうね。
そして、お店の一角には、柔道金メダリスト、その後格闘家に転身した、
石井慧(さとし)選手の色紙やら写真やらが大量に飾られています。
理由はお店を楽しむために、訪問してのお楽しみ、ということで・・・
とまあ、こんな場所でした。
大網自体はそれほど栄えている町ではないですし、
これといった観光資源があるわけではないですが、
このエリアはこういった建物のほかに昭和初期っぽい街並みが今も残り、
わりと楽しめるスポットとなっております。
ドライブ、ツーリングの途中、時間つぶしにちょいと寄ってみるのはいかがでしょうか?
以上「熱海輪店」をお送りしました。
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