File 237 昭和の杜博物館

松戸市内の会社社長が収集した、
昭和時代コレクションを展示している博物館。
はたしてどのようなところなのか?

昭和の杜博物館
【所在地】千葉県松戸市紙敷1377
【交通手段】JR武蔵野線 東松戸駅から車で10分ぐらい。
【HP】松戸市観光協会のHP

2014/07/20 訪問

私的な話ですが、千葉県内でツーリングやドライブをする際、
道路が混むのがわかっているので通りたくない地域があります。
それは、市川、船橋、鎌ヶ谷、松戸です。

いずれの街も、今のように発展するとは想像できずに道路設計をしてしまったためか、
交通網のキャパシティと、住民数が比例していないように感じます。

なので、新しい物件がこのエリアにできても、訪問には二の足を踏んでいます。

今回の物件は、まさにそのエリアである松戸に、3年前にオープンした博物館です。
前述のとおり、混むエリアを通らなければいけない、駅から離れているので電車でも大変と、
行きたくない条件がそろっていたので、いつしか行くのを忘れていました。

で、先日。

流山と松戸を走る流鉄が脱線事故を起こしてしまいました。
それ関係で調べものをしていたら、この博物館に流鉄の引退車両が持ち込まれていることを知り、
開館当初より魅力的なところになっていたようなので、渋滞を覚悟して訪問してきました。



こちらは東松戸駅。
JR武蔵野線と北総線が交差する場所にあります。

この駅、だいたいですが13年ぐらい前に完成したと記憶しています。
というのは、学生時代に武蔵野線で松戸まで通学しており、
この駅の建設から完成まで見届けていました。

以前「途中下車の旅」でこの駅が出たのですが、
周囲はまだ開発中で、空き地が多いというレポートをされていました。
北総鉄道は運賃が高いですが、武蔵野線も使えますし、
東京方面への利便性はまあまあで、悪くはない立地だと思うんですけどね・・・

そんな東松戸駅から北西方面に物件があります。



東松戸駅前を通る、県道51号(国道じゃないよ)を北方向に進み、
ゆるやかなカーブをすぎると、左手に小さい橋がみえてきます。
この橋は「れいめいばし」といい、下を流れているのが国分川です。
この橋直後の交差点で左折し、川沿いの道を進みます。



左手に国分川が流れる、新しい道路をひたすら進みます。



川沿いの道路の終端は、T字の交差点になっています。
ここを左に曲がると、やはり国分川に架かる小さい橋があるので渡ります。



橋を渡ってちょっと進むと、右手に物件への看板が見えてきます。
「昭和の杜展示館」とあります。

この物件、「博物館」なのか「展示館」なのか、ネーミングが統一されていません。



看板の方向に進んでいくと、入口に到着。
ここが「昭和の杜博物館」です。



入口横の園内図。

建物が複数あり、屋外展示スペースもかなり広そう。
これは期待できます。

ちなみにこの図の場所に受付はありません。
駐車場はこのゲートの中にありますので、
そのままゲートをくぐり、受付もそのまま通ります。



ゲートをくぐると長いガレージがあり、
その向いが駐車スペースになっています。そこに車をとめます。

ガレージには大量のクラシックカーがおさまっています。
ただし、クラシックカーのイベントでみるような、
スカイラインや117クーペとかの類ではなく、
実用車タイプが多いので、クラシックカー好きには肩透かしを食らうかも。

飛行機は3、4台見えるのですが、ほとんどが高いところにあって、よくみることができません。
わりと飛行機の操縦席とかって見るのが楽しいと思うんですけどね・・・



コンディションがわりと良い、三菱ジープその他自衛隊車両。
後日マイミクから聞いたお話ですが、ここのオーナーさんは、
松戸で行われるクラシックカーイベントの発起人として有名なんだそうだ。



ガレージの向いの風景。

手前が来場者用の駐車スペースで、
その先の空間には、もうなんでもあり。
あっちこっちにいろいろ展示してあります。



敷地の端なのに黄色くてよく目立つこの車両。
これが2年前(平成24年)に引退した流鉄の車両で、
引退後すぐにこちらに運ばれているようです。



もちろん中に入れますが「ぽっぽの丘」のような工夫もあるわけではなく、そのままです。
まだ現役時の雰囲気が残っています。
これだったら今の流鉄に乗ったほうが・・・いやなんでもないです。



他にも鉄道車両が2両ありますが、奥の白オレンジの車両は半分しかありません。
真ん中でブッたぎられています。

残り半分はどうなったかといいますと、
現在すでに閉店した「ダガシヤダイチャン」で使われています。
「ダガシヤダイチャン」の店跡は、同市の小金原でみることができます。

屋外はここまでにして、博物館に入ってみます。
1階入口すぐに受付があるので、ここで入館料300円を払います。
ちなみにこの博物館、金土日祝日のみの営業ですのでご注意ください。



受付から進むと、統一性がないコレクションの展示からスタート。
おそらくですが、それぞれの部屋のテーマから外れたものはここに置いているのだと思います。

「昭和舘」に進んでみます。



「昭和舘」。
展示物をみると、何のくくりかよくわからない。
古そうなものを置いているのはわかる。

ただ、車や古いバイクは許容範囲としても、
その中にベイダー卿、C-3PO、R2-D2、ゴジラのワンオフっぽい鉄製オブジェがあるのが・・・

鉄製オブジェはよくできているっちゃできているけど、
スターウォーズってそこまで昭和って感じしないような。
これらを無くして、昭和を演出したほうがいいような・・・



航空機のエンジンとトロフィー。
何のトロフィーかよくみてみると、「伝書鳩レース」の優勝トロフィー。
昭和と何の関係があるかは不明ですが、珍しいものではある。趣味の世界は広いもんだ。



次の部屋「おもちゃ館」。
中野やアキバのまんだらげで売っていそうな、レトロなおもちゃですね。
原画とかもわりと貴重なもののような気がします。



その隣は石原裕次郎コーナー。

昭和って時代が64年間と長かったわけだから、
生まれの年代によって昭和のイメージが違うんでないかと思う。

私が石原裕次郎を初めて見たときは、
西部警察(※リアルタイムではなく数年後の夕方の再放送)のあの姿で、
渡哲也や舘ひろしのほうがメインだったし。

だからこの画像にあるような、石原裕次郎の姿は見たことがないです。
映像作品のTV放送もされていないし、
年代によって偉大さがいまいち伝わらない俳優だと思う。

私にとっては、角川映画が昭和を代表する映画ってイメージかなあ。



次の「模型館」。

中央には巨大な空母の模型があり、
左右のケースには小さい飛行機のモデルがびっしり。



中央の空母の模型は、4mはあろう巨大なもの。
説明には、制作になんと15年もかかったとのこと。
たぶん仕事の片手間に作ったとは思うが、大作であることには間違いないです。



展示されている飛行機のモデル。
軍オタなら楽しめるのかも。

飛行機をここまで強調しているなら、
外に置いてある飛行機の1台ぐらいは操縦席オープンにして、座らせてほしいかなあ・・・



さらに進むと「小松崎茂」のコレクションが大量に展示されています。
ここが一番スペースをとっていると思います。



こんな感じ。
未来の空想を描かせたら、日本では右に出るものはいなかったのではと思います。

なんでも鑑定団での情報ですが、小松崎茂はものすごく大量に絵を描いたもんだから、
コレクターは多いが、絵の価値はそこまで高くない、って言ってました。
でもこういう想像力をかきたてるような絵画は1つは欲しいですね。



・・・・で、気になったことがあるんです。
それは、以前レポで紹介した「File 127 昭和ロマン館」と展示内容が似ていたんです。
あっちで見た気がする絵がこっちにもある?みたいな感じで。

ここで1階の展示は終わりで、順路はなく来た道を戻るタイプなので、
戻って受付にて訪ねてみたところ・・・・やはり思ったとおり。

ここにある絵画は「昭和ロマン館」から持ってきたものだそうです。
もちろん元の場所には無いので、「昭和ロマン館」は休館しています。

ここまでひとつひとつ見てきていたので、大量展示にお腹一杯状態なのだが、
2階にまだまだあります。恐るべきコレクション量・・・



入口を出て、外の階段で2階にあがります。



2階の入口からはこんな感じ。
掛け軸やら戦時グッズとかいろいろあります。
というか、ここにある戦時グッズは、
下の模型館の空母と戦闘機と一緒に展示されるべきだと思うんだけどなあ。
さきほど空母を見終わった後、脳内の「戦時アイテムスイッチ」はOFFになっているのに、
またONにしなきゃイカンのがなあ。展示の関連性が課題だと思う。



さらに進むと骨董品展示とか、昭和の空間を再現したものとかがあります。
骨董品はちょっと見づらいし説明もないのが・・・
ゲスな話、陶磁器コレクションを自慢するなら、評価額的な数字が添えてあれば食いつくと思います。
陶磁器が手に触れられず、高台が見えず、見た目以外の特徴がわからない場合、
関心事は金銭的価値で、「えーこれ100万円するの?」みたいな反応をしたいですからね。



駄菓子屋的な雰囲気演出。

「昭和の空間」は、松戸市立博物館に、全国でも類をみないすごいモノがあるから、
競合しても負けるというのが・・・



昔の台所やお風呂も再現。
本当に何でも集めているなあ・・・

はたしてこの博物館に必要なのか。



昔のジュークボックスや楽器とかのモダンな家具とか。

当時の人気ぶり、スペックや入手経路などのただし書きがもっとあれば、昔をイメージできるんだけど、
この2階の全ての展示物は「古いでしょ?見た目も今どき珍しいでしょ?ドヤァ?」という感じで終わってしまっている。



2階入口から屋外展示を見下ろすと、こんな感じ。

残念ながらスペースシャトルは乗れない状態でした。




とまあ、こんな場所でした。

館長が他のコレクターにコレクションを展示する場、としてはいいのかもしれませんが、
お客さんが博物館としてこれらを見ると、全体的に見づらい気がします。

理由の1つとして、前後の展示品の関連性が乏しいため、
宙に浮いた状態で、大量のモノをおぼろげに見ているような感じになってしまい、
個々にそれなりの見る価値があっても、それが頭に入ってこないです。つまり印象に残らない。

このあたりは、博物館設計を経験している方に、
展示方法をイチから変えてもらわないと直らないと思うので、難しいとは思いますが・・・


それでも、個人の博物館としては十分にボリュームがあるため、
普通以上におすすめできる物件だと思います。

以上「昭和の杜博物館」をお送りしました。


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