File 233 滝田城址

県道88号の途中にできた、真新しいトンネル。
トンネルの先にはかの里見八犬伝の舞台となったお城の跡があるという。
はたしてどのようなところなのか?

滝田城址
【所在地】千葉県南房総市上滝田以下不明
【交通手段】車かバイク推奨、思ったより歩きます。

2014/04/20 訪問

去年、今年と続いて、千葉県では圏央道の延伸に伴い、
次々インターチェンジがオープンしています。
実は開通したその日に、稲敷ICから神崎ICまで走っていたりする、
道路開通マニア的なことをやってしまいました。

で、後日。
バイクで房総をツーリングしているときにに急に思い出したこと。
それは、道の駅三芳から北上したところに新しくトンネルができたのだが、
それがまだ通行止めになっていることを。
通れるのか通れないのか、はっきりしないし、その先もどうなっているかわからない。

ともかく現地に移動してみることに。



ここが問題の場所。
道の駅三芳から県道88号を気持ち5分程度走ればつくところです。

とりあえずバイクから降りて確認します。



トンネルの先は通行止めらしいが、それまでの間に「滝田城址」があるようです。
とりあえずトンネルをくぐって、どこまで行けるか調べてみます。



トンネルの中。
ここの前には完成後も長い間、通行止めっぽい標識があったせいかい、
わりと使用感があります。



トンネルを抜けると、こんな感じ。
写真はありませんが、そのまま道なりに進むと黄色の工事用の柵で通行止めとなっており、
その先には真新しいアスファルトが続いていました。

で、このトンネルの先の道路は、ヤフー地図ではわりとわかっているので、
それの先をみてみると、「道の駅おおつの里」あたりに出るようになるようです。

「道の駅おおつの里」は「道の駅とみうら」からちょっと進んだところにある、
細い横道からだいぶ走ったところにあるのですが、
このあたりを観光する人はまず行くはずながない、というレベルの場所です。
正直、いらない道路ですね・・・


で、問題の滝田城址への道。
このトンネルの出口から見える、左の道に入ります。



トンネルの上のほうの土地に向かうような道があり、
看板はそちらを指しているので従って進みます。



少し進むと、わりと整備されているような入口のようなものが見えてきます。
とりあえずは見放された観光地、というわけではなさそうです。



進んでいくと少しした広場、駐車場になっており、ここから歩くようです。
中央のところに、おぼろげながら、上に続く階段が見えます。

白い看板には「滝田城址」とあり、
要約すると里見家が支配していたことが書かれています。



その隣の地図。デフォルメされています。
ここから山の尾根を伝うような道を歩けば、そのてっぺんに展望台があるようです。

展望台マニアの俺歓喜。



駐車場に車をとめて歩き始めるが・・・しょっぱなから急斜面。
道も土台が流されたせいで、微妙に整備されていない。先行きが不安です。



柵のようですが、チェーンは切れているし、支柱も曲がっている。
もともとの地盤がよくなさそうです。



突然竹林になったりと、よくわからない風景が続きます。
それにしてもアップダウンがきつい。
写真ではよくわからないとは思いますが、ここはU字型になっています。



道をさえぎるような巨木。
カメラは水平に構えています。つまり、この画像は山を登っているような傾斜です。

展望台とかがこの先にあるのなら、どうやって資材を運んだんだろう・・・


この日は特に山歩きする予定がなかったので、
心の準備ができていなかった。シンドイ・・・



スタート地点から約10分続く連続ヒルクライムにヘトヘトになりながらも、
ようやく展望台らしきものにたどり着きました。



ここは地図を見る限りでは、「滝田城展望台」になっています。
そしてその脇には里見発見伝の有名なキャラの像があります。



伏姫、八房像です。

和気藹々した雰囲気の像ですが、
最初は無理やり結婚させられて獣姦されるという、かなりダークな話なんですけどね・・



で、問題の「滝田城展望台」。
・・・・なんか様子がおかしい。



立入禁止のロープの先に「里見八犬伝発祥の地」とあります。
観光地にするには山奥すぎんだろ・・・
塔を見回してみると・・・


最下層の床に、落下したと思われるパーツがころがっていました。
どこのパーツかわかりませんが、展望塔の老朽具合からして、
いたずらとかではなく、自然落下かもしれません。



よいしょ、よいしょ。



もし鮮やかなオレンジ色だったら違和感ありありですが、
経年劣化がいい感じにボロってます。



一番上まできました。
おお、なかなかの見晴らし!



こっちは長狭街道方面(北東)。
山しかなく、それも低いです。
バイク乗りにはわりとおいしい道があっちこっちにあります。



こちらが道の駅三芳方面(南)。
よい景色です。
なお、前述のトンネルの先の通行止めの方角(西)は完全に山で、何も見えません。
そっちの景色が開けていたら、眺望の名所になれたかもしれません。残念。



帰りは慎重に降ります。
足場の板は結構カタカタしており、固定が甘い感じです。
おそらくこのままメンテしなければ、一気に崩れる可能性があります。
ま、この場所に展望台があっても物好きしか行かないので、
立ち入り禁止が妥当な判断かもしれません。
しかし、塔が登れないなら登れないで、山を登る前にわかる配慮がほしいところです。

ちなみにこの展望塔があった場所、昔お城は建っていませんでした。
安房勝山のお城(File 120 大黒山展望台を参照)と同じパターンですね。
この展望塔の先に道が続いており、もうしばらく歩くと、
送電線のふもとに石碑があるだけという、城跡を確認できるそうですが、
これ以上車から離れたくないので撤収。


とまあ、こんな場所でした。

里見八犬伝ゆかりの地は館山城はもちろんですが、
「File 117 伏姫籠穴」が一番雰囲気がオススメかなと思います。
ここは展望台マニアでかつ、日頃の運動不足を解消したい人にはちょうどよい距離なのでオススメかなと思います。



あと、南房総市に対し、これだけは言っておきたい。
「里見八犬伝」の取り扱いについて。

「AKB48」という名前は知っていても、
ファンでなければメンバーの名前がほとんど言えないようなのと同じように、
里見八犬伝も名前は大きく知られていても、内容が知られていません。
「アストロ球団」をはじめ、里見八犬伝の設定を使っている漫画は多いのに。

その原因としては、原典があまりにも長いので全部読むのが大変。
それを要約してまとめられた書籍も少ない。そしてその数冊しかない書籍は不人気で廃版。

教科書で名前を聞く以上の情報を得るのは、このネット全盛の世界ですら、かなり難しい状態です。
一番有名な薬師丸ひろ子の角川映画版は、ほとんどフィクションときたものだ。

南房総市がこういう場所を八犬伝ゆかりとして観光の宣伝をするの構わないけど、
正直、漫画なり、書籍なり使って、
里見八犬伝がどういう話かを知るすべを作る必要があるのではと思いました。
実際、船橋オートレースなんかは、オートレースの漫画を漫画誌に描くように活動し、
人気かどうかは別として、目的を達したことがあります。

鴨川のロボットアニメなんかで町おこしをしていましたが、
正直、真っ先に手をつけるのは、コレではないかと思います。
ストーリーはわりと面白いはずなので、
原作者がいないと作品が書けない漫画家なんかを起用して、漫画化に手をつけるとか、
具体的なアクションを起こしてほしいんですけどね・・・どうなんでしょ。

以上「滝田城址」をお送りしました。


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