File 228 北総の貝塚群

千葉県で最初に史跡指定されたという、
北総の貝塚群。
はたしてどのようなところなのか?

良文貝塚(よしぶみかいづか)
【所在地】千葉県香取市貝塚以下不明
【交通手段】車かバイク推奨。

阿玉台貝塚(あたまだいかいづか)
【所在地】千葉県香取市阿玉台以下不明
【交通手段】車かバイク推奨。

2014/01/26 訪問

千葉県の都市部にお住まいの方なら、「加曽利貝塚」の存在は耳にしたことがあるかと思います。
実際、千葉県でも有数の規模であり、貝塚が完璧に保存された建物のほか、
発掘されたもので立派な博物館(有料)があるほど整備されたところなので、
小学校もしくは中学校の校外学習で見学された方が多いかと思います。

ですが、千葉県の観光文化検定等では、
「加曽利貝塚」より、北総にある複数の貝塚のほうが問題に出やすくなっています。
問題作成者の真意は不明ですが、「だれもが知っているものを問題として出しても意味がない」
という感じに受け取れます。それほど知名度がある場所、ってことです。

その設問で加曽利貝塚と対抗して出やすい貝塚は2つ。
「良文貝塚」と「阿玉台貝塚」です。
今回はこの2つに行ってみよう、ということです。


さて、貝塚とは何か。
ごく簡単に説明すると、3000〜5000年前ぐらいの大昔の人のゴミ捨て場、ですね。
ゴミ捨て場なので誰も漁らなかったためか、
壊れたもしくは使わなくなった大昔の道具や土器が当時に近い状態で出てきたりするわけです。
そういうこともあり貝塚は発掘作業で1回掘られちゃっているので、
物が出てこなかった場所の一部の断層みたいな模型しかないことが多いです。


今回の貝塚があるのは香取市で、わかりやすく言うと、笹川駅から南下したあたり。



まず向かったのはここ、「豊玉姫神社」。
この神社には、近くの貝塚で発掘された約3500年前の土器が祀られています。
土器の名前は「香炉形顔面付土器」。
形状の特徴から、学術的につけられた、そっけない名前ですね。

この土器は毎日この神社で公開されているわけではなく、
毎年文化の日にあわせて、2日間だけ公開されるそうです。

なので、この場所へ訪れるのは、
この土器が閲覧できる11月3日が最も最適ということになります。




神社拝殿。
たいていの神社は「祭られる神様」によって名前が決まるわけですが、
この「豊玉姫神社」は、全国でも少ないそうです。
境内には「全国でみてもかなり少ないよ」アピールの張り紙が貼られていました。
ちなみに「豊玉姫」は安産の神だそうです。


富士フィルムのカメラ特有の片ボケで、左の獅子がボケている・・
そろそろこのデジカメも終了か。新しいカメラ何にすっかな。



豊玉姫神社を出て県道をはさんですぐの場所に、
良文貝塚への案内板とそこへ続く道があります。
そこを100mばかり進むと、こんな感じの場所があります。

良文(よしぶみ)という名称は、単に昔、ここが良文という地名だったため、
そう名付けられているようです。

周囲は単なる田畑や柑橘類が取れそうな木々があるだけで、
貝塚があるようにはみえません。

ま、それもそのはず、加曽利のように一点に集中しているわけではなく、
この地域の数か所で貝塚のようなところが見られます、というようなものなので・・・




・・・・・?コレか!



どうやらこの建造物から良文貝塚の断層を確認できるようです。






中をみてみると・・・・




この丘陵のようになっている地帯の断面をそのまま見ることができるようになっていました。
写真ではわりとはっきり見えていますが、
実際は緑のコケがかかっていいる上、真っ暗でよく見えません。

うーむ。ビミョー。

県指定史跡なのですが、これはちょっとわざわざ観に行くものじゃないな・・・

気をとりなおして、近くにあるもう一方の貝塚に行ってみます。
「阿玉台貝塚」ですね。




良文貝塚から阿玉台貝塚へは道案内があり、
交通量が比較的少ない道路を進むので、迷う心配はないと思います。
わりとドライブやバイクツーリングにはよい感じです。

小学校があるY字路につきあたったら、左に少し進むと、画像のような場所に行けます。
縄文の小径なる看板があります。



その隣には概要説明。
貝塚の平凡な説明しか書いてありません。

縄文の小径を進んでみます。
ゆるやかな坂をあがっていくと・・・



いきなり墓地です。
こっちしか道がないので、仕方なくそのまま進みます。



進んでいくと、つきあたりに何かあるようです。



「阿玉台貝塚」の石碑がありました。

しかし、それ以外にまったく説明がありません。
右の看板には、貝塚とは全く関係ない観音様の説明が書いてある。


うーむ。どこに行けばよいのか。
まさか入口ですべて覚えてから進まなければいけなかったのか?

いろいろ考えたのち、先に続いているであろう道を進んでみることに。



整備されているのかされていないかよくわからない道が続きます。




整備されているところはしっかりしています。
ちなみに整備されている道をそのまま進むと、
貝塚とは全く関係ない、梅林の中にある観音様の前まで来てしまいます。
実際、そこまで行ってしまったので、
引き返して別の道がないか戻りながら調べることになりましたが・・・




わりと長い距離を引き返しながら調べると、横道発見。
注意書きで貝塚とは書いていませんが、丘をくだるような足場があります。
ここを降りていきます。



枯れた杉の枝のようなもので覆われていて、
あまり管理されていない感じがします。
写真ではわかりませんが、わりと傾斜があります。



足場になる板をそのまま踏もうとしたら、穴があいています。
これ、トラップじゃねーか!
看板の絵のように怪我したくなければ、そこを歩かないほうがいいという、
本末転倒な足場です。




足場のすぐ横の土のところを伝いながら降りていくと・・・
何やら怪しい構造物が見えてきました。



戦闘中に隠れるような形をした建造物がありました。
どうやら「阿玉台貝塚」の見学エリアはこのあたりのようです。

で、早速みてみると・・・



地表に貝がたくさん見えるだけ。
正直いって雑な管理で、何も面白くはない・・・・

でもこう考えてみる。
3000年ぐらい前の人間が、九十九里浜〜鹿島灘の砂場で貝を掘ってきて、ここで中身を食べて捨てたと。
そこらへんの貝を触れば、3000年前の人と間接タッチ。
その貝自体も3000年前の貝。

なんとも夢のある場所ではありませんか!

一応、ここ以外の貝塚は「野良な貝」にタッチすることができないわけで、
フリーダム展示なここでしかできない芸当なわけです。
そう考えるとわりといい場所ではないのでしょうか?



さきほど降りてきた足場の脇にも貝がちらほら。
加曽利貝塚は展示スペース以外ではほとんど貝がみられないのですが、
こちらはもうあっちこっちに貝が落ちています。




場所は変わって、良文貝塚と阿玉台貝塚の間にある博物館。
名称は「まほろばの里」。
ここでは周辺の貝塚で発掘された物の展示が行われています。
入場料等は無料です。



建物正面。
ガラスケースの中に発掘物が展示されていたり、
冒頭で記述した「香炉形顔面付土器」の写真なんかもあります。
説明してくれる人はボランティアの地元民なのですが、
最初から最後までつきっきりで説明していただけます。
無料でトイレもありますし、行って損はしないと思います。

とまあ、こんな場所でした。

正直言って「貝塚」を見学するという目的なら、加曽利貝塚をおいて他はありませんが、
整備された博物館に飽きたという方、変わった展示方法のものを見たいというのであれば、
ここはなかなか面白い場所ではないかと思います。

特に土器の展示が行われる11月3日の文化の日と、翌日の11月4日(土)。
今からカレンダーに予定を入れてみてはいかがでしょうか?


以上「北総の貝塚群」をお送りしました。


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