File 220 山生橋梁(やもめきょうりょう)

JR外房線の太海〜江見の間にある、
土木遺産に認定された、鉄道オタクの中でも有名な橋。
はたしてどのようなものなのか?

山生橋梁(やもめきょうりょう)
【所在地】千葉県鴨川市天面 以下不明
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】道の駅オーシャンパークから徒歩5分程度。


2013/11/16 訪問

毎年この時期に「土木遺産」なるものの選定会が行われます。
全国にある近代工業の礎となった建造物を認定していき、それを後世に伝えていくというものです。
廃墟になってしまいがちな貴重なものをすこしは保護できるようになりますし、
お金もあまり絡んでなさそうなので、多くの人が共感できる選考会ではないかと思っています。

今年は残念ながら千葉県の物件は認定されませんでしたが、
昨年認定されていた物件にまだ訪問しておりませんでした。
物件の名前は「山生橋梁(やもめきょうりょう)」。

鉄道橋としては国内初建造方法「鉄筋コンクリート製のT型梁」という形で作られたものです。
その当時、橋の形は弧を描いているアーチ型が多かったのですが、
平台をたくさん並べて作って、上に線路を乗っけるというタイプでは、この物件が初めてだったそうです。
しかもこの橋、1924年に作られたものです。約90年経過しています。

そんな記念碑的な鉄道橋を、鴨川へ釣りに行ったときに、ついでに訪問してみました。



この物件周辺は、車をとめるところがありません。
なので、離れたところに車を止めて、歩いていくのがベストな訪問方法だと思います。

物件から一番近くて、車が迷惑をかけずに止められるところ・・・となると、ココしかないです。
「道の駅 鴨川オーシャンパーク」です。



道の駅のパンフレットには必ずといっていいほど掲載される、特徴的な建造物があります。
ここ周辺はお子様がよく遊んでいるのをみかけますが、大人には・・・な場所かなと思います。



道の駅を出て北側(勝浦方面)に歩いていきます。
トンネルの先すぐに物件がありますので、徒歩3分もすればたどりつけます。



トンネルの名前は「太夫崎隧道」。
歩行者用がきちんと用意されていますので、歩行者用を歩いていきます。



トンネルを抜けると、すぐに橋が見えます。
そしてバス停があります。



バス停には「房州大橋」とあります。
車と歩行者用の橋は「房州大橋」で、
それに沿うように作られている鉄道橋が「山生橋梁」になります。


で、このバス停のすぐ横に、下に降りる階段があります。
そのまま道路を渡って向こう側に行っても橋は見えますが、遠目でそれ以上近寄れない感じです。
とりあえず階段を降ります。



藪の中に階段が続きます。かきわけて突破!



さらに続く階段は、鉄の痛みとかを見る限りでは、
満潮時には海に浸かってしまうようです。

たまたま潮がひいているときに来ていたのは幸運だったようです。



階段を降りると、海岸に出ます。
いい景色です。



もちろん海に浸かるわけにはいかないので、
波にあたらないように砂浜沿いに歩いていき、「房州大橋」をくぐります。



すると・・・・



おおっ!見えました!

これが目的の物件、「山生橋梁」です。



よくまあ、こんなところに建てたもんだ、と感心。



90年も前の建造物なのに、この堂々とした風貌。
海がすぐそこなのに塩害に対する耐久力が高い。
そして、地盤が砂場なのに傾きすら感じさせない。

日本の近代建築はスバラシイ。



橋桁をみてみる。
きれいに角がまるめられています。
海風や波を切ったりるために考えられた形なのでしょうか。

あるいは戦争遺跡でよくみるように、
近代建築を作った日本人が、ムダに丸めることが好きな所為なのか。



柱にはおそらく鉄筋が埋まっているためか、
線が浮き出ています。なにげなく美しい。



下の部分の石垣。隙間に埋められているのは砂が多めと思われるコンクリート。
塩対策なんでしょうか。現在のコンクリートでは、こんな施工を見ることができないと思います。
ともかく当時の状態を保っているから、当初考えられた方法は正解だったということでしょうね。




上を電車が通ったので、あわてて撮影。
しかしイマイチ。

電車主体で写真を撮りたければ、下に降りるのは利口ではなさそうです。

とまあ、こんな場所でした。

土木遺産に認定されただけあって、近くでみるとなるほど、と思える美しい建造物です。
物件は冒頭の「房州大橋」に平行して建っているため、
ドライブしているときれいな景色だと思うだけで、一見のまま通りすぎてしまいがちな場所です。

しかし、遠くから鴨川にお越しになっているのであれば、
そのまま通りすぎてしまうのは非常にもったいないです。
オーシャンパークで一休みするついでに、訪れてみてはいかがでしょうか?

以上「山生橋梁(やもめきょうりょう)」をお送りしました。


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