File 215 奇跡の原っぱ

千葉ニュータウンの開発が思い通りに進まなかった結果、
そこではあり得ない奇跡の自然環境が誕生したという。
はたしてどのようなところなのか?


【所在地】千葉県印西市の「印西牧の原駅」から北西のエリア


2013/07/初旬 訪問

今年の6月末ぐらいに、あるニュースが流れました。

内容は、千葉ニュータウンを開発しようと山を崩して平原にした後、
その土地を売ることができない状態が続き、
約30年放置されていた間に、自然の宝庫になってしまったのです。
日本全国でもほとんど見られないはずのホンドキツネが巣を作ったり、
絶滅危惧種27種が確認されているとのこと。
そしていずれの生物も、駅から歩いていける場所に生態系があることが、
非常に珍しいとされています。

しかし、最悪のタイミングで、この生態系の破壊が進行していました。
現在「都市再生機構」が千葉ニュータウンを開発していますが、
開発期限が設定されており、来年3月31日で終了することになっています。

今の目標がどうなっているかわかりませんが、
指定された目標達成のために、販売可能な土地を作る期限が決まっているようで、
それまでに100%終了させる必要があるのです。

つまり、来年の3月末で「奇跡の原っぱ」は消滅するわけです。
当然のごとく反対運動が起こり、今回のニュースになったわけです。

ポイントとして、千葉ニュータウンは目標人口14万人のところを、
9万人と低迷し、土地が売れ残っている状況。
つまり「奇跡の原っぱ」をいまさら開発しても売れないよ、ってことです。

私は八千代市に住んでおり、印西のこのエリアには買い物に行ったり、
映画を観に行ったり、成田方面へアクセスするときにも通る、比較的なじみがある街です。
なのでこのニュースには興味があり、現場を訪問してみました。




こちらは印西牧の原駅から北東方向にある「滝野」エリアにある、「滝野公園」。
ご覧のとおり、古墳のような建造物があります。
調べた限りでは、ここは古墳でもなんでもないようです(笑)

「奇跡の原っぱ」なんていうものが誕生するほど土地が余っているのか、
この公園もかなりの広さの土地を使って作られています。

この構造物がある理由等は公園のどこにも書かれていないのでなんともいえませんが、
おそらく開発の時に余った残土を有効に使用しようと考えた結果、
古墳のような山ができたと思われます。

この「偽古墳」の頂上に登ってみます。



「偽古墳」の頂上。
意外に絶景ポイント。
周囲に高い建物が無いので、印西の街が見渡せます。




印西の栄えている方向を見てみる。
整備されているっちゃ整備されていますが、建物より緑が多い感じです。
ここから見た印象だけで言うと、緑=余った土地 で、
これ以上開発する必要性が無いように感じます。



そして・・・

ご覧の通り。マスコミもこんないい画が撮れるところを見逃してる。
実際は原っぱの位置はもうちょっと右なのですが、
原っぱの風景を入れなくてもこれ。

これは「奇跡の原っぱ」を残す運動が起こってもおかしくないです。



「印西牧の原」の産業の中心と言っても過言ではない、
ホームセンター「ジョイフル本田」から北にまっすぐの道が続いています。
この道の左が「奇跡の原っぱ」といわれる、未整地区域のようです。

このまっすぐの道を進むと、スピードを落とさせる意図しかない、悪意丸出しのS字カーブがあります。
かえって事故を誘発しているような気がするが・・・
URはしょぼい開発より、このカーブをどうにかしろよ。

で、このカーブの直前に左に曲がる道があります。



左に曲がると続く道。
「奇跡の原っぱ」に沿って続いているようです。
進んでみます。


こちらの道沿いの右側には昔から印西に住んでいたと思われる方の民家が続き、
左側には、こんな看板とともに、緑が柵で囲まれています。



看板の地図。
ジョイフルからまっすぐつづく道の交差点から左上が奇跡の原っぱ、
他の左下、右下は現在整地進行中です。



「ゴル」の文字だけが見えている看板。

まだ緑が少ない頃、
ゴルフができるほど広大な空き地だったんでしょうね。



そして沿道の終点。
それほど高くない草木が茂る、草原のような雰囲気がある場所に出ました。

ここがおそらく目的地「奇跡の原っぱ」を間近にできる場所かなと思います。


次は「BIG HOP」というショッピングモールに移動し、
観覧車から展望してみます。



観覧車の搭乗口。
平日は空気輸送機となっています。

この写真はたまたま人が少ないときに撮影していますが、
この日は結構並んでいました。


なぜかというと・・・



この日は無料でした。

このショッピングモールはお客さんが多いとは言えず、空き店舗が増殖中。
こういったサービスで客足を呼び戻そうということかもしれません。
空き店舗が多くて観覧車となると、あそこを思い出さずにいられませんが・・・


ともかく有料でも乗るつもりでしたが、これはラッキー。
早速乗ります。



以前乗ったときはもっときれいだった気がしますが、
席が結構傷んで、年代モノの雰囲気です。
メンテというか、観覧車改修にかけるお金がないのかもしれません。



頂上付近から。
右のヤマダ電機の北側はほぼ開発完了。
左のジョイフル本田の北側の先にはまだ緑が残っています。



さらにズーム。「奇跡の原っぱ」の部分です。
その手前は整地進行中。


とまあ、こんな場所でした。

レポをご覧になった印象のとおり、この周辺の土地はかなり余っている状況。
そして、その土地もお世辞に良い立地ではありません。
「奇跡の原っぱ」現地ではそれほど生物がいるように見えませんでしたが、
研究者が「居る」というなら居るんでしょうね。
この運動でURに金銭要求とかの裏があったりする可能性も否定できませんが、
そういったことを考えなければ、開発中止運動側の言い分は、
URが1%未満の確率で達成できる計画を中止する、それ以外デメリットが無いと思いますので、
まだ間に合うなら貴重な自然は残しておいてほしい、と思いました。


以上「奇跡の原っぱ」をお送りしました。


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