2013/06/29 訪問
千葉県でもドライブするときに欠かせない道の1つ、長狭街道。
内房から外房へ簡単に移動できる、あまり混まない道としての重要さは昔から変わらず、
信号の少なさもあり、千葉でもわりとドライブに向いている道であると思います。
そして近年では、長狭街道沿いにあるスポットに陽があたってきました。
大山千枚田はひな壇芸人数人で千葉県を旅するような番組では欠かせない場所ですし、
勝浦式タンタンメン、保田の水仙、長狭米、いわし料理屋など、多くの名物が脚光を浴びています。
そんな長狭街道ですが、一歩横道に入れば、静かな田園風景。
その田園風景の中、人知れずに開館した資料館があるという。
資料館の名前は「房総自由民権資料館」。
名称からして、堅苦しい展示内容であることが想像できます。
長狭街道の交差点の1つ、主基(すき)交差点。
内房から長狭街道に入るとなかなかの快走ロードが続きますが、
快走ロードが終わり、市街地の雰囲気が出てきたあたりになります。
この交差点を南側に曲がります。
交差点を曲がってすぐのところに、特徴的な建物があります。
このあたりの建物には見られない、古くてがっしりした感じの建物です。
建物の入口。
表札には「房総自由民権資料館」とあります。
もともとは病院だった建物が保育園に改修されて使われていたのですが、
2011年に廃止され、民間に公売されていたのを館長が手に入れて、
この資料館を開設するに至ったそうです。
庭には保育園だった名残の遊具が残っています。
資料館の建物。
この日は大雨が降ったりやんだりしていたのですが、
それもあいまって良い雰囲気を醸し出しています。
入ります。
入口。
入館料は500円とのこと。
入ると隣の部屋から館長の佐久間氏が応対してくれました。
手続きをすませると、まずは館長自ら展示物を軽く説明してくれます。
廊下。
うーん。いいねえ。この雰囲気。
正直、この雰囲気を楽しめるなら500円は妥当かも。
展示物。
何を展示しているかというと、博物館の名前のとおり、
自由民権運動に関する資料です。
自由民権運動というのを簡単に説明すると、
明治維新後、立ち役者である薩摩藩、長州藩の人たちが国の運営を支配しつつある中、
民間人の力で、現在の政治構造を生み出した運動のことを言います。
その運動を行った方が、全国的に見ても千葉県は多いそうで、
千葉県の運動家の資料を集めて、ここで展示しているわけです。
これらの展示物は、館長が私財をなげうって収集したものだそうだ。
館長は京大卒で、長く千葉県で高校教授を務めており、
在職中から「自由民権運動」について研究していたとのこと。
で、調べていった結果、これらの運動に参加した活動家たちの家系が途絶えており、
無縁仏同様になっていることを知り、資料館開館のきっかけになったそうです。
こういった昔の資料もたくさん置かれています。
ショーケースに入っているべきものかはわかりませんが、
普通に手で触れることができます。
半紙のような紙質で、自然と慎重な手つきになってしまいます。
昔の千葉の地図。
こんなに海岸線がまっすぐだったんですね。
館長は現在も資料を収集しており、今後展示内容を増やすようです。
実際、書庫みたいな部屋があり、そこに研究につかわれた膨大な資料があるようです。
トイレに行くと窓があり、その窓から見えたのは、
写真のような低い仕切り。中の児童に何かあったときのため、なんでしょうかね。
今の保育園はどんなんだかわからないのでなんともいえませんが・・・
ひととおり館内を見終えて入口に戻ると、
館長からプレゼントをいただきました。
この博物館が掲載された「ちば民報2013年5月5日号」と、
館長自ら育てた無農薬栽培のじゃがいも。
その他博物館の資料・・・等。
とまあ、こんな場所でした。
「自由民権運動」というあまり見慣れない素材を中心にしているため、
他の博物館的施設より、足を運びにくい場所かもしれません。
しかし、この元病院、保育園の建物の雰囲気がよく、周囲は長狭街道から外れ、非常に静か。
時間がとまった感覚と静寂の中、貴重な資料を眺めることができます。
館長も元高校の先生ということもあり人柄がよく、展示物の説明も的確。
このレポのとおりの廃校的な雰囲気が好きならオススメ。
展示物を度外視しても楽しめると思います。
逆に博物館とかで展示物を重視する方だと、
題材が題材なだけに、面白くないと思う人もいるかもしれません。
意見が分かれるスポットかなと思いました。
以上「房総自由民権資料館」をお送りしました。
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