File 210 山本五十六のプロペラ

千葉内陸の小さな農村にある神代神社。
本殿には戦時中のスーパースター、
山本五十六の書が刻まれたプロペラがあるという。
はたしてどのようなものなのか?

神代神社
【所在地】千葉県市原市神代266
【地図】googleマップ
【交通手段】車かバイクで。


2013/06/02 訪問

もうすぐAKB48の総選挙開票ですね。
このイベント自体は有名になっていますが、結果はファンにしか関心がないという、
よくわからない状況になりつつあります。
自分の好きなジャンルの世界でトップにしたいために、多額の投資をする。
それが他の大半の人からみたら、無価値であるにもかかわらず。
ネトゲをはじめ、投資した結果の実態がない、
そういう世界がどんどん増えてきているような気がします。

しかし。昔は、財力をささげる場所が1つしかなかった。

時は遡って約60年前。
太平洋戦争の最中、国は民間からの軍資金の寄付を受け付けていました。
そして、ある一定の寄付をしたものだけに国からプレミアムなプレゼントが贈られました。
それが今回の「山本五十六の書入りプロペラ」というわけです。
これを所有しているということは単純な話、
国に多額のお金を寄付できる、相当な財力のある名士であるわけです。

それが千葉の小さい農村の神社に安置されているとのこと。

それではレポします。



ここは市原ICから南部に通じる、市原バイパスの交差点。
右にはここ数年で千葉県内に増殖中の「房の駅」があります。
そこと奥のコンビニ(ローソン)の間の道に入っていきます。



しばらく進んでいくと、小学校の前に信号がある場所につきます。
信号の名前は「海上小学校前」。

この画像の右のところに、道路の縁石がへこんでいるところがありますが、
そこから田んぼ脇の道に入っていきます。




気持ち20秒ぐらい走ると、右手にこんな感じの空間が見えてきます。
奥には高台に赤い鳥居が見えます。
ここが物件のある「神代神社」になります。



階段をのぼります。

高台にあったので、崩落を防ぐためだとは思いますが、
わりと新しい感じの補修がはいっています。



階段をのぼって到着。
鳥居は真っ赤で、こちらもまた最近塗られたような感じがします。



しかし見た目は微妙な感じ。

ただ、隙間から見える本殿をみるとかなり古い感じがして、
このトタンは内部の構造物を守るために囲んでいるだけのもの、
という感じです。



神社正面。
南京錠がかかっていました。
当然開きません。



しかしちょっと隙間があります。
覗いてみると・・・・




なにやら字のようなものが見えます。
物体の左にはプロペラの軸のようなもの、
右には1文字しか見えませんが、資料によると「溟」の字のようです。

残念ながら一部しか見えない状況でしたが、
目的のプロペラはここにありました。
もうちょっとはっきり見える、覗き窓的なものがあるとうれしいんですけどね・・・残念。






ですが。








このブツは1年前、情報収集を目的として、
五井駅前にある「五井会館」にて初めて一般公開されました。
その公開時、実は私、観に行っていました。

それがそのときの写真です。


五井会館にて。

人間と比べると当たり前ですが大きいです。





上の現地レポでは1つしか確認できませんでしたが、
2つあるようです。

大きいほうは3.2m、装着していた機体は「九四式水上偵察機」、
小さいほうは2.6m、装着していた機体は「中島式5型複葉機」のようです。

大きいほうに書かれている文字ですが、
「龍蛟躍四溟」と「尽忠報国」の文字が刻まれています。
「龍蛟躍四溟」のほうが山本五十六元帥の署名付きの書で、
「尽忠報国」のほうは山本英輔海軍大将の署名付きの書だそうです。
残念ながらもう片方の写真がありませんでした。撮っておけばよかった・・

で、今、五井会館での展示は終わり、もとの場所に戻ってきたわけですが、
結局多額の寄付をして手に入れた人物、
そして神社に寄贈した人物が何者かはわからなかったようです。

とまあ、こんな感じでした。


市原の小さい農村の神社に眠る、
1人の名士が大日本帝国に少しながらも貢献した証。
なんともロマンを感じるお宝ではないでしょうか。
その貢献の証、1人でも多くの人に見届けてほしいと思いました。


以上、「山本五十六のプロペラ」をお送りしました。


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