File 200 第二袋倉ダム

ダムマニアの行く手を拒み続ける、
全国でもトップレベルの訪問難易度を誇るダム。
はたしてどのようなところなのか?

第二袋倉ダム
【所在地】千葉県鴨川市東町字1848
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】徒歩、オフロードバイクを強く推奨。


2012/11/03 訪問

自動車やバイクの免許を取得した後、初めて長距離ドライブをする時、
目的地をダムに設定したことはありませんでしょうか?

ダムは地図に載っている可能性が高いですし、
案内板もあり、周辺が観光地化されていて、景色もきれい、
そして建設のための資材運搬のため、周辺の道路が整備されているので、
ドライブの目的地としては、これ以上に良いものはありません。

ところが今回紹介する物件、千葉県南部の山奥にある「第二袋倉ダム」ですが、
千葉どころが全国的に見ても、訪問するのがかなり難しいダムとされています。

原因は、他のダムではあり得ないほどの悪路が続くため、
ダムまで到着できない方が続出しているためです。

記念すべき200回目のレポとして、
このダムの攻略はネタとして相応しいと思い、訪問してきました。

ここで物件についてのお約束。

ここは携帯の電波が届かないほどの山奥です。
1人で訪問し骨折等のトラブルがあった場合、かなり辛い思いをします。
自信の無い方は訪問しないでください。
万が一トラブルがあった場合、当HPは一切の責任を持ちません。
あくまでも物件への訪問は自己責任でお願いします。
また、南房総の山中は夏場にヒルがいますので、訪問はヒルの居ない秋冬推奨です。


勝浦から鴨川に行く途中、山側の陸橋と、海沿いの道が交差する場所があります。
交差点の名前は「東町」です。ダムの住所にも載っている地名ですね。
ここを北側に曲がるとゆるいカーブが左に続いていますが、
そのカーブ手前に右方向への道があるのでそちらに進みます。


ちょっと進むと外房線の踏み切りがあり、その先がT字路になっています。
ここを渡ってすぐ右に曲がります。


しばらく進むとトンネルが見えます。
ここから長い冒険の始まりです。


トンネルをくぐってしばらくは舗装された道路が続き、
周辺にはぽつぽつと住宅があります。
道はほとんど一本道です。
どんどん進みます。


それほど進んでいないのに手堀りトンネル。
この先にもトンネルがたくさんあり、
山の奥深くに進んでいっている雰囲気を感じます。


だんだん道が険しくなってきます。
かすかに舗装は残っていますが、道の価値を考えると、
おそらく百年後もこのままでしょう。


舗装が消えて、オフロードが続きます。
道は細くなり、軽4輪がかろうじて通れるレベルですが、
脱輪は覚悟したほうがいいレベルです。
オフロードバイクあるいは徒歩なら全然問題ないレベルかなと。

こんな感じの道をしばらく進んでいくと、開けた場所に出てきます。


東町交差点から約20分。
ダムがある場所に到着しました。

・・・ただし、このダムは「第一袋倉ダム」です。


ダムというわりにはこじんまりとした印象で、
対岸が100mあるか無いかぐらいの大きさです。
普通の小さい湖を、ちょっとばかり高めの堰で囲っただけのようです。


近くにいい感じに仕上がっている石碑がありました。


裏をみてみると、大正、昭和1桁の年代が刻まれています。
かなり昔のものであることがわかります。


この先に第二袋倉ダムへの道が続くのですが・・・
急激に道のコンディションが悪化します。


いきなりコレです。
写真を撮っている暇がなかったので画像がありませんが、
ここ数日晴れていたはずなのに水溜りは当たり前、
ぬかるみは深いので、その場で止まっていたりするとすぐハマってしまいます。
慎重にルートを考えながら進んでいきます。

基本的にはこんな感じの道が延々と続きます。


一部の道は地すべりしたかのように道が消失しているところもあります。
先を見て道を選んでいきます。


第一袋倉ダムから20分。
不法投棄禁止の看板があります。
ここに不法投棄する以前に、車でここまで持ってこれないだろ・・・

それはさておきこの地点、道が左に続いているように見えますが、
左は道が消失しており、そちらを突き進むと遭難コースです。
正解は右の溝のようなところ。右に進みます。


すると非常にぬかるんだ道の先にトンネルがあります。
ここはおそらくオフロードバイクでも無理です。
バイクはここに停めて、ここから徒歩で進みます。

トンネルの中は非常に真っ暗なので、ライトがあるといいかも。

そしてトンネルの地面はやはりぬかるみ。
棒でつつきながら進まないとハマってしまい、その生涯を終えてしまうかもしれません。
オフロードバイクで進んでも、トンネル内で悲惨なことになると思います。
注意して進んでください。


トンネルを抜けるとすぐ沢が見えます。
周囲には道が見当たらず、ダムがこの先にあるようには見えません。



どこに行けばいいんだ・・・

その場で棒立ちのまま、あたりを見回して考える。


とりあえず沢を渡って、広い空間があるところで周囲をみてみることにします。

すると・・・


対岸に柵のようなものが続いているのが見えます。
柵がある理由は、ダムがこの先にあること以外に思いつきません。

なので正しいルートはトンネルを抜けたらすぐ左の崖沿いを歩くでした。


崖沿いの細い道を進んでいきます。
道と呼んでいいのかわかりませんが、歩いていけるスペースはなんとかあります。


粗末なパイプで作られた橋。
床板が・・・・


錆びてペラペラの板。
体重がちょっとばかり重い方だと、ブチ抜いてしまうかもしれません。
落ちたら渓流にまっさかさまです。


柵のようなものがあるところまでたどりつきました。
看板は真っ白で読むことができませんが、ダムへの道を示していたことは間違いない。


落石で道がふさがれている箇所や、柵が曲がって欠落している箇所もあります。
しかし修理する必要も無い場所ですし、ずっとここままなんでしょうね。

慎重に進みます。


木々の隙間からなにやら見えてきました。

おお、これがまさしく目指していたもの!
もうちょっと草木が減る、冬のほうがダムの全景が見られるのかもしれません。


柵も終わりのほうが見えてきました。

ようやく・・・か。


ついに到着。
ここが第二袋倉ダムです。

トンネルから徒歩で約20分位。

東町交差点から悪路をバイクで40分走った後、
さらに徒歩で20分の合計1時間かかっています。
写真を撮りながらゆっくりのペースなので、悪路に慣れていればもっと早く行けるかもしれません。

訪問が難しいダムだと言われているのも納得。


ダムの上。幅は3mぐらい、奥行きは50〜60mでしょうか。


朽ち果てた水門操作用の器械。
水門操作のためにここまで来なくてはいけない水道局の人が気の毒です。


ダムの南側。ゆるやかに水が落ちていきます。


見下ろしたところ。
高さは24mだそうですが、それ以上の高さに感じます。


ダムの北側。静かな湖面が広がっています。
人がほとんど来ない場所ということもあり、心なしか落ち着きます。


ダムの先には階段があり、続きの道がありそうですが、
1時間以上かけてここまで来たわけですし、さすがにこの先に進む気力はありません。


逆方向のアングル。
考えてみるとゴミが落ちていないので、かなり風が吹く場所なのでしょうか。
天候が悪い日は訪問しないほうがよさそうです。


「定礎」と第二袋倉ダム概要。

概要によると第二袋倉ダムは昭和46年に作られたもので、
今から約40年ぐらい前になります。
着工は昭和45年と10ヶ月足らずの突貫工事で作り上げたようです。
にしても、40年前にあの狭い道で、
ダム用の資材をせっせと運びこんだということなのでしょうか。
あるいは源流から船で運んだとか?こんなろくな道の無い山奥に、
今もなお現役のダムが作れる資材を、どうやって運び込んだのか。
そこが不思議でしょうがないです。


とまあ、こんな場所でした。

道中は評判どおりの悪路が続き、甘くはなかったです。
バイクでオフロードを日頃から走っている方なら、楽にダムまでたどり着けるかもしれませんが、
大半の人はそうではないはず。
オフロードバイクを手に入れるだけではなく、
悪路を走破する実践的な技術が身についていないと途中で挫折するかもしれません。
もちろん徒歩でも可能ですが、バイクで片道1時間ですので、かなり時間がかかることは覚悟してください。

第二袋倉ダムは、千葉県をくまなく回るという目的を持つ勇者のために、
立ちはだかる物件と言っても過言ではないです。
我こそ、という方こそ、ぜひチャレンジしてみてください。

以上、第二袋倉ダムをお送りしました。

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