File 195 とんとんみずき橋

かって日本一を誇った巨大木造陸橋は、
近年大問題が発生し、見るも無残な姿を晒しているという。
はたしてどのようなものなのか?

とんとんみずき橋
【所在地】千葉県野田市みずき1丁目 以下不明
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】東武野田線 梅郷駅から車で5分位。


2012/09/02 訪問

最近「日本一の物件」について調べています。
その中で「条件付きで日本一」という物件がありますが、
これをみていくと都道府県にちらばっており、千葉県にもちらほら見受けられます。
それらのものの大半はたいしたものでなさそうなのばかりですが・・・

でも、その条件付きでもスゴイ!と思えるようなモノも当然いくつかあります。
今回のレポで紹介する物件は、木造の歩行者用陸橋で日本一だとのこと。
ジャンルを絞っているとはいえ、木造で歩行者の陸橋で日本一となると、
相当な金をかけないとできないはず。写真を見たところ見た目もきれいで、
これほどのモノがなぜ野田の奥地の住宅街にあるのか?と勘ぐりたくなります。


しかし。
この物件にはすでに異変がおきており、渡れない陸橋となっていたのでした。


こちらは東武野田線 梅郷駅。

ここが最寄駅となる閑静な住宅街「みずき」に物件があるとのことです。
物件は車で5分、徒歩で20分程度かと思います。


物件の近くにはショッピングモールがありますので、そこに車を停めます。
そして・・・


このショッピングモールのすぐ横に、
立ち入り禁止の柵で囲まれた建造物があります。

これが今回の物件、「とんとんみずき橋」です。



南側の建造物正面から。
手前にあった石碑を読んでみる。


とんとんみずき橋

この木橋は、昔の野田橋や梅郷村(のち野田市と合併)役場などをイメージして作られたものです。
世界で最も丈夫と言われている西アフリカ産のエッキ(ボンゴシともいう)という
木材でできており、幅4〜6m、長さ193.5mの歩行者専用橋で、
現存する木橋としては日本有数の規模のものです。
「とんとんみずき橋」という名前は、橋の完成とみずきの街の入居開始を記念して
市民から募集した名前の中から選ばれました。

平成9年(1997年)4月





柵のすきまから覗いてみると、かなりしっかりした作りのように見えます。
柵に貼ってある紙をみてみると・・・


保守点検の結果、異常があったので通行止めとのこと。
通行止め自体は平成22年9月10日から始まっていたようです。

ネットでちょっと調べてみると・・・
この点検で重要な箇所に木材の腐食が見つかり、通行止めにしたとのことです。
橋の説明には世界一頑丈な木材を使用したとあるのに、その木材が腐食したわけです。
高温多湿の日本に合わなかったということでしょうか。

点検で異常があったのはともかく、なぜ修復は行われず、そのまま壊されたのか。

それはかの大震災が原因でした。
3月11日、日本を震撼させた大震災は腐食でもともとダメージがあったこの橋に、
致命的な影響を与え、腐食から崩落を懸念するレベルになってしまいました。
そのため、同年の6月に4車線道路を跨ぐ部分が解体されてしまい、
道路に影響の無い部分だけ残り、現在に至っているわけです。


柵ごしに中を眺める。
見れば見るほど、新しく見える上、かなり作りこまれているように見えます。
それもそのはず、作られてから14年程しか経過していないわけですから。


橋げたに沿って歩き、南側の起点まで歩いていきます。
なんだか橋げたがヤワに見えるけど、気のせいかな・・・


南側の起点。

周囲を見ると、ぶっちゃけ重要なものは何もありません。
橋そのものの、交通的な利便性はほとんど感じられないと思います。


起点からの眺め。


柵のすきまから撮影。
アスファルトの割れ目から草が生えています。
これが震災のときにできたヒビなのか、
それとも橋の欠陥からできたヒビなのか気になるところです。


もうちょっと進んだところから柵ごしに。
ここから木橋が始まっています。


出来たときはキレイで、ただの木造建造物だったのかもしれませんが、
渡れない今、現役のときより魅力を感じるのは気のせいでしょうか。


道路をはさんで北側にも、同じ建造物が見えます。


すぐ近くにはバス停「とんとんみずき橋」がありました。
完全に橋がなくなってしまった後が気になるところです。


北側の建造物。
基本は南側と同じです。


中の雰囲気も一緒っぽいです。



南側はボコボコの場所に建っているような気がしますが、
北側は平地の上に建っているように感じます。


北側の起点です。
周囲を見る限り、南側同様にこの橋を使う必要性があまり無いように感じます。



まあ、柵が1箇所だけ無いところがありましたんで、ホイホイと。

左右の灯篭っぽいのは、
この橋のモチーフとなった「野田橋」の門前灯をイメージして作られているものです。


橋のプレート。


柵の隙間から撮影。


とまあ、こんな場所でした。

橋の面積では日本一となっておりましたが、それもそのはず、
橋にするまでもない緑地部分から無理矢理橋にしているので、
日本一を狙って作っていたことは間違いなさそうです。

しかし、交通拠点としての利便性がほとんど無く、
おまけに13年で壊れて渡れないという有様では、日本一もただのまやかし。

木材の腐食が主原因だとなると、補強による修復も難しいと思われますし、
このまま朽ちて無くなるしかないのでしょうか。

それほど知名度の無い新興住宅街にシンボルとして作られた橋が、
街の発展を見届けられず役目を終えてしまう。なんともいえない悲しい物件でありました。

以上、とんとんみずき橋をお送りしました。

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