2012/09/02 訪問
最近「日本一の物件」について調べています。
その中で「条件付きで日本一」という物件がありますが、
これをみていくと都道府県にちらばっており、千葉県にもちらほら見受けられます。
それらのものの大半はたいしたものでなさそうなのばかりですが・・・
でも、その条件付きでもスゴイ!と思えるようなモノも当然いくつかあります。
今回のレポで紹介する物件は、木造の歩行者用陸橋で日本一だとのこと。
ジャンルを絞っているとはいえ、木造で歩行者の陸橋で日本一となると、
相当な金をかけないとできないはず。写真を見たところ見た目もきれいで、
これほどのモノがなぜ野田の奥地の住宅街にあるのか?と勘ぐりたくなります。
しかし。
この物件にはすでに異変がおきており、渡れない陸橋となっていたのでした。
こちらは東武野田線 梅郷駅。
ここが最寄駅となる閑静な住宅街「みずき」に物件があるとのことです。
物件は車で5分、徒歩で20分程度かと思います。
物件の近くにはショッピングモールがありますので、そこに車を停めます。
そして・・・
このショッピングモールのすぐ横に、
立ち入り禁止の柵で囲まれた建造物があります。
これが今回の物件、「とんとんみずき橋」です。
南側の建造物正面から。
手前にあった石碑を読んでみる。
とんとんみずき橋
この木橋は、昔の野田橋や梅郷村(のち野田市と合併)役場などをイメージして作られたものです。
世界で最も丈夫と言われている西アフリカ産のエッキ(ボンゴシともいう)という
木材でできており、幅4〜6m、長さ193.5mの歩行者専用橋で、
現存する木橋としては日本有数の規模のものです。
「とんとんみずき橋」という名前は、橋の完成とみずきの街の入居開始を記念して
市民から募集した名前の中から選ばれました。
平成9年(1997年)4月
|
柵のすきまから覗いてみると、かなりしっかりした作りのように見えます。
柵に貼ってある紙をみてみると・・・
保守点検の結果、異常があったので通行止めとのこと。
通行止め自体は平成22年9月10日から始まっていたようです。
ネットでちょっと調べてみると・・・
この点検で重要な箇所に木材の腐食が見つかり、通行止めにしたとのことです。
橋の説明には世界一頑丈な木材を使用したとあるのに、その木材が腐食したわけです。
高温多湿の日本に合わなかったということでしょうか。
点検で異常があったのはともかく、なぜ修復は行われず、そのまま壊されたのか。
それはかの大震災が原因でした。
3月11日、日本を震撼させた大震災は腐食でもともとダメージがあったこの橋に、
致命的な影響を与え、腐食から崩落を懸念するレベルになってしまいました。
そのため、同年の6月に4車線道路を跨ぐ部分が解体されてしまい、
道路に影響の無い部分だけ残り、現在に至っているわけです。
柵ごしに中を眺める。
見れば見るほど、新しく見える上、かなり作りこまれているように見えます。
それもそのはず、作られてから14年程しか経過していないわけですから。
橋げたに沿って歩き、南側の起点まで歩いていきます。
なんだか橋げたがヤワに見えるけど、気のせいかな・・・
南側の起点。
周囲を見ると、ぶっちゃけ重要なものは何もありません。
橋そのものの、交通的な利便性はほとんど感じられないと思います。
起点からの眺め。
柵のすきまから撮影。
アスファルトの割れ目から草が生えています。
これが震災のときにできたヒビなのか、
それとも橋の欠陥からできたヒビなのか気になるところです。
もうちょっと進んだところから柵ごしに。
ここから木橋が始まっています。
出来たときはキレイで、ただの木造建造物だったのかもしれませんが、
渡れない今、現役のときより魅力を感じるのは気のせいでしょうか。
道路をはさんで北側にも、同じ建造物が見えます。
すぐ近くにはバス停「とんとんみずき橋」がありました。
完全に橋がなくなってしまった後が気になるところです。
北側の建造物。
基本は南側と同じです。
中の雰囲気も一緒っぽいです。
南側はボコボコの場所に建っているような気がしますが、
北側は平地の上に建っているように感じます。
北側の起点です。
周囲を見る限り、南側同様にこの橋を使う必要性があまり無いように感じます。
まあ、柵が1箇所だけ無いところがありましたんで、ホイホイと。
左右の灯篭っぽいのは、
この橋のモチーフとなった「野田橋」の門前灯をイメージして作られているものです。
橋のプレート。
柵の隙間から撮影。
とまあ、こんな場所でした。
橋の面積では日本一となっておりましたが、それもそのはず、
橋にするまでもない緑地部分から無理矢理橋にしているので、
日本一を狙って作っていたことは間違いなさそうです。
しかし、交通拠点としての利便性がほとんど無く、
おまけに13年で壊れて渡れないという有様では、日本一もただのまやかし。
木材の腐食が主原因だとなると、補強による修復も難しいと思われますし、
このまま朽ちて無くなるしかないのでしょうか。
それほど知名度の無い新興住宅街にシンボルとして作られた橋が、
街の発展を見届けられず役目を終えてしまう。なんともいえない悲しい物件でありました。
以上、とんとんみずき橋をお送りしました。
>>Return
|