File 184 上田中坑道陣地

東金市の有名スポット、雄蛇ヶ池近くに、
本土決戦を想定して作られた巨大坑道があるという。
はたしてどのようなところなのか?


宝珠山法光寺
【所在地】千葉県東金市田中310
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】千葉東金道路 東金インターから5分ぐらい。

2012/02/26訪問


私のレポ物件の所在地を地図で見てみると、
千葉県に均等に散らばっているように見えますが、
自然と空白地帯になってしまっているエリアがあります。
そこは東金〜九十九里のエリア。

そういった物件が全く無いわけではないと思うので、
今年はこのあたりを探していこうかなと思っています。
というわけで、マジメにこの地域を調べたところ、おもったよりいろいろありました。

まずは1番スゴそうな物件からいってみることにしました。
物件の名前は「上田中坑道陣地」だそうだ。
太平洋戦争終盤、米軍が日本に上陸して本土で戦いが行われるであろう状況、
いわゆる「本土決戦」を想定して作られたものだそうだ。

なぜここにあるかというと・・・
米軍は九十九里浜から船で上陸すると想定します。
そうすると首都、東京に向かうために道路を確保する必要があります。
東金には江戸時代からある有名な「東金御成街道」があり、
これを進んでいけば簡単に東京に行けてしまいます。
となると間違いなくこの道路が米軍に狙われることになります。

その東金御成街道を進軍する米軍に対抗するために、
街道沿いに築かれたのが、この物件になります。

それではレポします。


ここは東金で一番有名なんじゃないかと思う、雄蛇ヶ池。

当時は高視聴率を誇った番組「とんねるずの生でダラダラいかせて!」で、
心霊スポットとして放映されたのが原因かなと思います。
実際、心霊スポットとしても有名ですが、
それ以上に肝試しに来たところを狙われて強盗されるという事件が多発し、
心霊どころがリアルに危ない場所となっています。
そして、道路を挟んで向かいの場所には・・・例の「ホテル活魚」があります。
とりあえずはこのあたりを夜歩くのは危険だと言っておきます。

それはともかく、この「雄蛇ヶ池」の近くに「法光寺」があります。
まずはそこを目指します。


「雄蛇ヶ池」の北東側に、池の利用者用の駐車場があります。
そこからちょっと南に行くとこんな感じの場所があります。
法光寺の入口になります。


法光寺の説明。歴史は古く、東金御成街道沿いにあったためか、
徳川家の庇護を受けていたようです。
物件については一言も触れていません。


法光寺の山門をくぐります。

・・・ちょうどお葬式の最中でした。マズイときに来てしまったかなあ。


会葬客用のバスを横目に、本堂前に駐車。
本堂にはかなり歴史のある2つの仏像がある模様。
でも会葬中ということもあり、外から見るだけにしました。


本堂の右側は墓地になっており、
墓地の奥にある崖にはなにやら穴のようなものが見えます。
どうやらそれが探しているもののようです。


とりあえず会葬が一息つくまで待っていたところ・・
このお寺の住職らしき方がバスに乗り込み、会葬客と一緒に行ってしまいました。

住職の帰りを待つのはムリなので、
社務所のほうにはまだ誰かいるみたいなので、そこに聞いてみることに。

社務所に入り、ある「本」を見せて、
「このお寺が載っていたので、それを拝見させていただくことは可能でしょうか?」
というような感じでたずねてみたところ、OKをいただきました。

お伺いした方は「本」に掲載されていることは知らなかったのですが、
つい最近、自衛隊の方が100人位バスで来て、物件を修復していったので、
このお寺に何があるのかは十分に知っているとのことでした。

というわけで許可をいただけたので、突入します。


ほとんどの穴は物理的にふさがれており、入れる穴は画像の1箇所になります。


近づくと・・・人工的な四角形の坑道が見えてきました。
これが「上田中坑道陣地」です。


持参したライトをつけて、いざ突入。
結構光があたりそうな場所だと思っていたのですが、甘かった。


入って2〜3歩で、ライトが無ければ何も見えないほどの暗闇。
もちろんフラッシュを焚いて撮っています。

坑道の高さは150cmぐらいといったところ。
全域がほとんど正方形に近い形で掘られ、迷路のように分岐しています。
とは言っても分岐は7〜8箇所ぐらいでしたので、10分もあれば全部の分岐を回れると思います。
実際に行ってみないとわからないのですが、壁の影になるように分岐しているところがあり、
おそらく入ってきた米兵を狙撃したりするために工夫しているのではないかと思います。


墓地側に向かっている道。
道の先はふさがれており、許可なしの不用意な侵入を防いでいるものとおもわれます。


坑道の一部は土嚢が落ちており、後で聞いたところによると、
この坑道は水がたまりやすく、自衛隊の方が排水して土嚢を作っていったようです。
自衛隊としては演習ができ、戦争遺跡として、歴史を肌で感じるためには良い場所なんでしょうかね。


坑道の壁をよくみてみると、ゴツゴツしている中に点のような感じのものがありますが、
これはおそらくツルハシがヒットした跡なんじゃないかと思います。
本土決戦になるとわかってから急にこしらえたものであるにもかかわらず、
正方形にきっちり掘ってしまっていることから、
緊急事態になっても丁寧にやってしまう、日本人らしい几帳面さがうかがえる個所かなと思います。


とまあ、こんな感じの場所でした。

この物件は館山に多く見られる防空壕とは違い、戦闘を前提とした構造になっています。
そのために天井が低く、迷路のようになっています。
しかし、これで本土決戦で米軍に対抗できるかと言ったら・・・無理なんじゃないかなと思います。
幸いにも使用されずにこうして残ったわけですが、もしも使用されるような事態になっていたら、
雄蛇ヶ池の霊はここでの死者が化けて出てきたのではないでしょうかね・・・。

千葉県北部〜東部にはこういった物件は少ないため、
こういったタイプの物件に未訪問でしたら、かなりオススメかなと思います。

以上、上田中坑道陣地をお送りしました。
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