File 181 石見堂やぐら

千葉でも秘境に近い集落への道の途中にある、やぐら堂。
はたしてどのような場所なのか?


石見堂やぐら
【所在地】千葉県富津市相川以下不明
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】車かバイク以外は難しいです。

2012/01/07訪問

千葉の各地を走っていると、実にいろいろな風景が楽しめます。
ベイサイドの夜景、房総南部の快走山間道路、九十九里のどこまでも続く砂浜・・・
そんな中で「雪国の山奥の田舎っぽい町」といえば「梨沢」周辺だと思います。

梨沢周辺への行き方ですが、
上総湊駅から93号に入り、川を渡って南側に出て、
館山道の高架の下をくぐってそれっぽい方向に走っていけばいけるかもしれません。

梨沢はどういうところか。
風景とにかく田舎っぽく、狭い道が続く中、
どうやって建てたのかわからない建物がぎっちり詰まっていたと思ったら、
突然田園風景になったり、手掘りトンネルがあったりと、多彩な風景変化が味わえます。

で、私的に最大の特徴だと思うのは、方向感覚が失われてしまうこと。
道案内等が全く無く、方向感覚がわかりづらい道が続くので、
自分がどっちに向って走っているかわからなくなるので、かなり迷います。
おそらく初めて行ったときは、入ってきた方向を戻るのでなければ、
自分が意図した方向に出ることはかなり難しいと思います。

これ以上は行ってみてのお楽しみということで梨沢の説明はここまでとして、
その梨沢に行く途中に、雰囲気のある「やぐら」があります。


「やぐら」は一般的に2つのものを指しています。


漢字で「櫓」。
見張り台とか、お城で言う弓矢を撃つ建物だとか、そんな感じです。

そしてひらがなで「やぐら」。
こちらは西暦1200年前後の主流だった、横穴タイプのお墓を指しています。
たいがいは掘ったところに墓石、石仏、五輪塔が置かれているものです。

今回のレポは後者の「やぐら」のほうです。
「やぐら」は基本的に1200年頃には政治の中心だった鎌倉に多く、
他の地域ではあまり見られないものです。

ところが千葉にもそういったタイプのものがある、
ということで重要な文化財になっています。



前述の梨沢の集落への入口の道を走っていると、途中でこんな感じの場所があります。
「ら」の文字が半分埋まった「岩見堂やぐら」の看板があり、
後ろには石段が上まで続いています。
早速登っていきます。


石段の磨耗と苔の付き具合から、800年前という時代を感じさせてくれます。


ちょっと開けたところに出ますが、まだまだ続きます。

ちなみに柵には猿避けのためか、電流が流れています。
もちろん人間が触ってもアウトなので注意。


味のある階段です。
正直、このスポットの見所かもしれないです。


階段はまだ右方向に続いていますが、なにやら建物のようなものが見えます。
これが「岩見堂やぐら」のようです。


岩と一体化するように建てられた建造物。
安定しているのかしていないのかよくわからない感じです。


正面に回ってみると「岩見堂」とありました。
スペースの関係で、正面から全体像の写真が撮れません。広角レンズが欲しい・・・


岩見堂やぐらの説明。
君津市の「やぐら」の中では大きい方だとのこと。
時代とともに、いろいろ魔改造をされているようです。


中を覗きます。
鍵がかかっていて戸は開きませんので、
網越しに見るか、賽銭入れのための窓から覗くしかありません。


思ったより整然としていて、花も新しいです。


賽銭窓にカメラをつっこんで撮影。
がっつり掘られています。

この「やぐら」は単に巨大な石を掘って部屋を作ったわけですが、
これだけ平らに掘るのにどれぐらい時間がかかったのやら。
すでにある洞穴の壁に石仏を掘ったりするのはよく見ますが、
こちらは壁全体を平らに削って、部屋をつくっているわけです。
時代が時代なだけに、常人が想像する以上の時間がかかっていたのではないでしょうか。


「やぐら」の特徴ともいえるべき壁の人工的なくりぬきがあり、その跡に仏像が置かれています。
この石仏は1600年頃の作だそうです。

鎌倉時代の人間がお墓としてここを作ったが、
時が流れ、いつのまにか江戸時代の人がここを仏堂として祭っていった、
そんな感じで「やぐら」というより、祭壇という感じでした。


「岩見堂やぐら」を出る。
そこで思い出したのが階段がまだ上に続いていること。
ここまで結構登ったから、頂上には素晴らしい景色が待っているのではないかと。


階段を登り続け、頂上が見えてきました。





白い光の先に見えたものは・・・・・





























・・・・・・・・・・・・・・・・   ?






結構登ったはずなのに、田畑が普通に広がっていました。


とまあ、こんな場所でした。
岩見堂やぐらは凄さがやや伝わりにくい物件ではありますが、
これを1200年前の人間がこんなところに作ったというのを、
行くまでの行程を考慮して、何がすごいのかを考えながら観てみると良いと思います。
冒頭の梨沢が気になった方も、暖かくなったらこの物件の訪問と併せて訪問してみてはいかがでしょうか?


以上、石見堂やぐらをお送りしました。

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