File 176 旧志津小青菅分校

今もなお開発され続けるユーカリが丘からそう遠くない場所に、
廃校から約30年経過してもなお、当時の面影を保つ校舎があるという。
はたしてどのようなところなのか?

旧志津小青菅分校(きゅうしづしょう あおすげぶんこう)
【所在地】千葉県佐倉市青菅148
【地図】−
【HP】ありません。
【交通手段】車かバイクで。ユーカリが丘線「中学校駅」から徒歩でいけないことはないと思うが、結構つらいかも。

2011/12/10訪問

私はプロフィールに書いてあるとおり、千葉県八千代市に住んでいます。
自宅からバイクで3分も走れば、千葉でも人気のある住宅街「ユーカリが丘」に行くことができます。
千葉県で「都内勤務・郊外在住」の条件で家を探すと、非常に人気がある場所かなと思います。

ユーカリが丘は「山万株式会社」が町全体を開発する形で造られました。
国ではなく民間のただ1つの会社の手によって開発するという斬新な手法で作られた町として、
経済の世界では都市開発の見本として有名なところです。

主なポイントは3つ。

1つめは町全体を一気に開発するのではなく、少しずつ土地住宅を分譲することにより、
町全体が古くなることを防いでいること。
高齢の人は家を買うお金が無い、もしくは買う必要がないから、
安くて良い家をつくれば自然と若い人が購入し、街に入ってくるってことです。
このユーカリが丘の開発は1970年代からスタートしましたが、
未だに空き地があることから、かなり先を見据えた計画であることがわかります。

2つめは公共施設のほとんどを山万が管理していること。
国はほとんど介入せず、街の公共施設の管理、従業員雇用まで山万が管理しています。
そのため、ユーカリが丘は独特の街並み、雰囲気を維持できているといえます。

そして3つめは、「山万株式会社の支配」アピールのために、
京成ユーカリが丘駅への公共交通は、山万運営のモノレールしかないこと。
というのは、当初佐倉市が路線バスを町内に敷きたいという旨を、
山万側が強硬拒否し、結局佐倉市が折れたという経緯があります。
これにより山万により運営していることの浸透、
バス渋滞の解消により、ユーカリが丘町内の道路交通にも好影響を与えています。

しかし。


これらはユーカリが丘のエリア内でのこと。
ユーカリが丘からちょっとはずれただけの郊外の街では、
距離的には一番近いはずであるユーカリが丘駅にバスで行くことができません。
実際、ユーカリが丘からはずれた住宅街からは、
2つ隣の駅である勝田台駅のほうにバスが出ているぐらいです。

そのせいもあってか、ユーカリが丘からはずれた北部地域は、
古い町並みを残す地域となっています。
その中にあるのが、本日の物件「旧志津小青菅分校(きゅうしづしょう あおすげぶんこう)」になります。

それではレポします。



こちらは京成ユーカリが丘駅前。
駅ビルにあたる部分は結婚式等が行えるホテルになっており、
変わった発想で街がつくられているのがよくわかります。



駅前のロータリー。
一番の特徴は路線バス運行が無いため、バスを停める機能を排除していること。
そのため、非常にスッキリした感じになっています。
ショッピングセンターも巨大なサティがあり、
都内に出なくても、買い物や最低限の娯楽には困らない生活を送れそうです。
駅前にパチ屋がないのも○。ホームタウンはこうあるべきですね。


ユーカリが丘を象徴する、4つの超高層ビル。

調べたところ、29〜31階建て、1階あたり8戸、
1棟でなんと260戸近くあるようです。
中古物件で2500万円程度と、千葉湾岸エリアのそれと比べてそれほど高くはないので興味がありましたら・・



もう1つのユーカリが丘の象徴、モノレール。
料金はどこまで乗っても200円。
朝夕のラッシュ時は5分に1本ぐらいのペースで出ていますが、
それ以外の時間は15〜20分に1本のペースで走っている感じです。
真夜中の0時を過ぎても数本あるあたりが、夜遅いサラリーマンにはいい感じです。


ユーカリが丘の説明はそこまでにして、物件のレポにすすみます。



モノレールの「中学校駅」あたりから北のほうに向って走っていくと、
山万によって開発された住宅と、もとからあったと思われる田園地帯が混じってみられます。
その田園地帯を進むと、ユーカリが丘とは比較にならないほどの古い住宅が並んできます。


古い戸建が続く場所を進んでいくと・・・物件が見えてきました。
目印はこの看板。

地図はこの物件の保護のために公表しません。


本日の物件、「旧志津小青菅分校」です。
この学校は明治36年に設立されましたが、
この地域の急激な成長に伴い、昭和30年に新築されました。
それがこの物件になります。
22年間の実働後、昭和52年に廃校。
廃校から約34年が経過する物件になりますが、
ご覧のとおり、当時の雰囲気をほぼ完全に保っています。


入口。
当然かもしれませんが、施錠されていて中には入れませんでした。


入口のドアのガラスごしに撮影。
床の腐りや壁の崩壊はほとんどないどころが、ゴミが落ちておらず、
いまでも管理が行き届いているのがわかります。


外から別アングル。
窓の欠落が数ヶ所ありますので、そこから中をみてみます。



おお〜!いい感じ。
ノスタルジックを感じます。
机等がありませんが、黒板から当時の授業風景を思い浮かべられます。


こちらにも黒板。
段差があるのが何故だかわかりません。
正座して授業を受けていたような感じでしょうか。


裏口。入口のちょうど反対側ですね。
こちらも鍵がかかっていました。


ガラスごしに中を観てみる。
入口の戸が見えます。この雰囲気、いいですね〜。


この物件ですが、一応地元の集会所的な利用をされていることもあるようで、
管理者が掃除にくることもあるようです。
運良く、その管理者に会えれば中を見せていただくこともできるのではと思います。

だいぶ前のレポですが、File005の「消防資料館」も廃校を利用していますが、
物が置かれているために何か別の物件という感じがしますが、
こちらはもう純粋に校舎そのものしか残っていない。
廃校舎の雰囲気を味わうには外からでも十分。
日常に疲れた人がノスタルジックな雰囲気を味わうには非常に良い物件かなと思いました。

以上、旧志津小青菅分校をお送りしました。
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