File 159 しおさいの里

行き場の無い犬たちの楽園を作ろうと、千葉で立ち上がった1人の男。
長きにわたる楽園の維持の果てに、その夢が終わりを迎えつつある。

しおさいの里
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【地図】−
【HP】−
【交通手段】−



2011/07/02訪問

某掲示板のコテハン、北東部民氏からメールが届く。
なんでも、千葉の某所にある「犬の楽園」の規模が縮小しつつあるとのこと。

千葉に犬の楽園があるという情報は、この方の掲示板への投稿が初見でした。

その犬の楽園の名称は「しおさいの里」。
病気や周囲の環境の都合で、行き場をなくした犬を引き取り、「楽園」で飼育しているとのこと。

ネットで調べてみたところ、
話がぶっ壊れたエログロ漫画を描くことで有名な「根本敬」氏による取材がこの物件を有名にしたようです。
その後「千葉のムツゴロウ」のイメージを想像してか、たくさんのメディアの取材が入るが、
劣悪な飼育環境が災いし、支援どころが動物愛護の団体が抗議をしてくるというような状態だったようです。

その「犬の楽園」場所のヒントを教えていただき、本日訪問に至りました。
それではレポします。


周囲は建物が1割とすると、田畑が9割を占めるのではないかという田園地帯。
その田園地帯をまっすぐに抜ける道路の途中に、
いろいろな物体の集合体、悪く言えば粗大ごみ捨て場のような場所があります。


敷地は畑2つぐらいの大きい長方形で、敷地に沿うように小屋のように組まれた建物が並んでいます。
その1つ1つには鎖でつながれた犬がたむろしています。


ごみのように見える部分が大半ですが、
犬が入るところは一応屋根や犬小屋のようになっており、
雨露をしのぐことはできそうです。


周囲をまわっていると、敷地の中から1人の男性がでてきて、声をかけてくれました。
どうやらこの方がこの「しおさいの里」の管理者のようです。

写真では目線を入れていますが、いい顔をしています。
ちゃんとした身なりをすれば、大企業でやり手の部課長という印象です。
管理者の男性がこの物件についていろいろとお話してくれますので、
聞きながら、犬へお世話しているところを見ることにします。



この男性がこういったことを始めたのは、今から32年前。
はじめたての頃は資金難のため、バスで犬を連れて各地に移動し、
ボランティアのアピールをして資金を稼いだそうです。
今は支援者がいるようで、そういったことをやらないようです。


ここにいる犬1匹1匹が、管理者が近づくとうれしそうな反応をします。
今日はじめて行った私でも非常になついてきます。

ここでは一時期500匹を飼育していたとのこと。
今現在は70匹程度だとのことです。



この施設で飼育することは「犬に対する虐待だ」という主張するHPがありますが、
私としては犬の表情を見る限り、どちらかというと、そうは思いませんでした。

この男性が何もしなかったら犬はどこへ行くことができたのか?
この楽園より良い場所に行けたかどうか?
残念ながら、他所だとその命を終えている可能性のほうが高く、
今の状態が生きていくうえでは最高の場所だと思います。



冒頭で述べた「規模の縮小」についてですが、
この施設の現状、衛生状態の悪さからおととし行政介入があったようです。
いわゆるゴミ屋敷の美化のようなタイプのものと思われます。

これが影響し、この場所からの移転を考えているそうです。
そのため、新たな受け入れは少なくしているようです。

今後どうなるかわかりませんが、行政介入があったからには、
このままの形で続けていくことは難しいと思われます。




この場所を明かせない理由ですが、単純な話です。
悲しいですが、ここに犬を捨てにくる人がいるから、です。
私も猫を飼っているでわかりますが、その猫よりも忠実な、
自分の家族になった犬を捨てる人がいるのは信じられないです。
たとえ、引越しだとかの理由であっても。
犬がいらなくなったら、保健所に持っていき、
その目で愛犬の最後を見るぐらいの覚悟がないと犬を飼ってはいけないと思います。


私的にはいろいろとお話を聞いた限りでは、
とても悪意をもってここを運営している方とは思えませんでした。

ただ、粗大ゴミ捨て場のような場所でなく、
もうちょっときれいな場所でやってほしい、というのはありますが・・・

数時間の滞在後、いろいろとお話していただいた男性にお礼を申し上げ、
お気持ちとして千円を渡してこの場を去りました。


とまあ、こんな感じの場所です。

この施設の一番の問題は、すばらしい理想を実現する男性に対し、
あらゆる物事、段取り、技術がついてきていない、ということでしょうか。
いずれかがついてきていればムツゴロウのような動物愛護の著名人となれたかもしれません。
気持ちだけでは残念ながら、万人が納得できるボランティアは不可能です。
千葉の僻地にありながらも、いろいろと考えさせられる施設でした。

以上、しおさいの里をお送りしました。


2016/04/09 再訪問

この物件に関するある噂を聞きつけ、再訪問してきました。




物件に到着するも、その噂が事実であるかのように、生物の気配がありません。



そして、以前と比べてひどい荒れ様です。

そもそも元が粗大ゴミ捨て場のような雰囲気でしたが、
そこにあった物体は、人間が間を移動できるように配置されていました。

それが現在となっては、無造作に山積みにされているだけ。
写真を比べてみると、前はもっと整理されていたんだと感じました。



そして、張り紙が2つありました。

片方はここに犬、猫を捨てるのは犯罪だと。
ここを訪れる方にとっては、重々承知の内容です。



そしてもう片方には・・・・



犬や猫を捨てに来た人へ

しおさいの里の園長の本多忠まさ(ただまさ)
さんは12月に亡くなられたので、ココに動物を
捨てても面倒を見る人は居ません!

 絶対に捨てないでください。

 なお、本多さんの遺骨は匝瑳市の西光寺さんが
預かっているそうです。
 (匝瑳市役所の匝瑳市福祉課で詳しく教えて
くれます。)

(※匝瑳=そうさ)

そう、噂は事実でした。
このしおさいの里の主、本多氏は昨年の年末に亡くなられたそうです。




ロードサイドに積まれた物体をよくみると、犬小屋やゲージはありますが、
それとはおおよそ関係のないソファーも見受けられます。

本多氏が生存しているときは犬猫を捨てていく場所、
現在は粗大ごみの不法投棄と、匝瑳市にとっては頭の痛い場所になりつつあります。



すでに、単なる違法投棄の場となりつつあります。
信じられないかもしれませんが、この記事の2枚目の写真の場所です。
(画面右奥の鉄塔でわかると思います)



瓦礫の中にCafeの看板がありました。
本多氏の事業の1つとして考えられたものかもしれませんが、
単なる違法投棄なら、犯人は捜せばすぐわかりそうなもんですが・・・



この空間の中央部分に入ってみます。



敷地の中央は一転、ごみが散らばっているものも、空き地になっています。

もともとは犬が入るゲージや本多氏の生活スペースがあったのですが、
それらが撤去されてしまったあともごみにしか見えないものが残っていたため、
ロードサイドから粗大ごみが投棄されてしまい、現在の姿になった感じです。



コンテナの上から落ちそうになっている人形。
本多氏の夢は生きている間はずっと、
この人形の姿勢と同じような、危うい道を進んでいたのかもしれません。

この記事によって、私は彼の夢を無責任に応援してしまった支援者の1人となっていますし、
今となっては志半ばで倒れた本多氏のご冥福をお祈りするしかありません。

本当にお疲れ様でした。


本多氏に関する情報ですが、クーロン黒沢氏が発行している電子書籍マガジン、
「シックスサマナ」の次号(24号)に追悼号として記事にするとのことです。
私と違い、長期にわたって取材を行っておりますので、かなり濃い記事に仕上がっていると思います。
興味がありましたらぜひご覧いただければと思います。

以上、しおさいの里をお送りいたしました。
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