File 148 波の伊八 生誕地

中世の美術の世界に大きな影響を与えた、
千葉県が誇る彫物大工、波の伊八。
彼が生まれた地と、近隣にある鏡忍寺にて作品を鑑賞してきました。

波の伊八 生誕地
【所在地】千葉県鴨川市打墨以下不明
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】鴨川有料道路鴨川側入口から長狭街道方面に進んですぐ。

鏡忍寺
【所在地】千葉県鴨川市広場1413
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】JR安房鴨川駅バスで10分。


2011/01/30訪問

鴨川の新たな観光資源として「波の伊八」が挙げられており、
昨年10月に鴨川市の観光団体として「波の伊八鴨川まちづくり塾」なるものが作られました。
鴨川市にある波の伊八の作品、あるいはゆかりのものを保護して、鴨川市の観光振興に役立てようというものです。
これにより、波の伊八関連の情報が以前よりとりまとめられ、訪問しやすいものとなってきました。
今回は波の伊八の作品2点と、生誕の地である場所を訪問してきました。

なお、波の伊八の代表作については「File 018 太東崎周辺・波の伊八巡り 」をご覧ください。


房総スカイラインの終点からすぐの場所にある道の駅、
ふれあいパーク君津から鴨川方面に向かうと、鴨川道路に突入します。
鴨川道路の料金所からしばらく走ったところに「大日交差点」がありますが、
そこを西方向に曲がってすぐの場所にこんな看板が見えます。
看板には「波の伊八 生誕地」とあります。


クルマは軽自動車でギリギリという感じの細い道を進んでいきます。
こりゃ看板がないとわからんな・・・


二又の道の左の方にすすむと、墓地のような場所が見えてきました。
まさか、ここ・・?


どうやらここのようです。
古い家があるとか、石碑が建っているだけの場所かと思いましたが、
完全に墓地でした。


武志伊八朗の旧居跡とあります。
親族が別のところにあったお墓をここに移して、このようにしたというようなことが書いてあります。
その別のところというのは後述する「鏡忍寺」です。


「高石」とあるのは、4、5代目の苗字が高石のためです。
ちなみに先代から五代目まではこんな感じです。

初代 武志伊八郎信由 本名 武石伊八(1752〜1825)
二代 武志伊八郎信常 本名 武石万右衛門(1786〜1852)
三代 武志伊八郎信美 本名 武石伊八郎(1816〜1889)
四代 武志伊八郎信明 本名 高石仙蔵(1862〜1908)
五代 武志伊八郎信月 本名 高石武一郎(1890〜1954)

私的に、作品としては初代が一番素晴らしいと思います。


正面から。
場所が場所なだけに、寂しい感じです。
近くにちょっとした寺社があればいいのですが、普通に田んぼの横だし・・。
一拝して、近くにある鏡忍寺にある作品を観に行きます。


迷ってもバイクで10分程度でいける場所に、
鴨川では有名な鏡忍寺があります。看板が多めなのでわりと簡単にたどりつけると思います。


さすがに風格があります。

このお寺の由緒ですが、
日蓮関連のお話、他で言うとキリストの行動を記した聖書と同じようなものの中に、
「小松原法難」という事件があり、その舞台がこのお寺なのです。

簡単にまとめると、
日蓮宗を潰そうとしている東条景信が、この地で日蓮を襲撃しました。
日蓮に同行していた鏡忍坊日暁と、天津城主の工藤吉隆が討たれ、
日蓮自身も負傷するも、ここにある巨木「降神槙」が鬼子母神を召還し、日蓮を守ったということです。
後に日蓮はここにお寺を建て、討たれた鏡忍坊日暁から名前を取って鏡忍寺としたそうです。


鏡忍寺の境内MAP。
道とかが無いんでちょっとわかりづらいですけど・・・


このお寺の敷地のほぼ中央にあたるところに巨木があり、
厳重に保護されています。


傘みたいになっている補強屋根の下を見てみると、
「降神槙」と書かれた看板がありました。樹齢1000年以上とのこと。


そしてこちらが本堂。
左右に渡り廊下が続き、5個ぐらいあるそれぞれの堂を直結しています。


緑の額がいい感じです。
はて、波の伊八作品はどこだろう・・・


どうやらここのようですが・・・こちらは写真を撮り忘れてしまいました。
また近くに寄ったときに撮ってきます。
確かこの赤の線で結んだところだったような。


そしてこちら、鬼子母神堂。
こちらに5代目の伊八の作品があるという。
どれどれ。


これが5代目の伊八が作った欄干だそうです。
初代のオーラはありませんが、
造型を見れば並みの彫刻家では作れないのはよくわかります。


欄干を裏から見てみると、銘がありました。
画像が見づらいですが、
彫刻師
五代 高石 信月 とあります。


こんな感じの場所でした。
初代、2代目以外の伊八の作品は、柴又帝釈天に集中していますが、
それ以外では鴨川市が、伊八作品が集結している地とも言えます。

実は伊八作品、お寺の中にあって外から見えず、非公開になっているものがいくつかあります。
当然このHPで挙げた伊八作品は、公開されているものだけです。

しかし、冒頭のような伊八の保護団体ができて、
今後非公開物件が閲覧しやすくなっていくのは必然と思われます。

スタンプラリーのように物が残るわけではありませんが、
郷土の偉人、波の伊八作品を制覇するのは千葉県フリークとしては必須だと思いますし、
今後もこのHPでは伊八作品を追い続けていきたいと思います。

以上、波の伊八 生誕地をお送りしました。
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