File 147 天保水滸伝遺品館

かって歌舞伎の題材として絶大な人気を誇った「天保水滸伝」。
その物語の舞台となった地に博物館があるという。
はたしてどのような場所なのか?

天保水滸伝遺品館
【所在地】千葉県香取郡東庄町笹川い580−1
【地図】googleマップ
【HP】東庄町商工会のHP
【交通手段】JR笹川駅から徒歩10分。佐原香取インターから30分ぐらい。


2011/01/16訪問

まずは「天保水滸伝」という話について説明せねばなるまい。

抑えておきたい主な登場人物は4人。

笹川繁蔵(ささがわ の しげぞう)・・・この物語の主人公の1人。
香取郡東庄町生まれの元相撲取り。
ギャンブラーになってしまい、そのままギャンブルの元締めに。

飯岡助五郎(いいおか すけごろう)・・・この物語の主人公の1人。
横須賀市生まれの元相撲取り。
その後相撲取りを廃業して、旭市飯岡町に漁業のために移住。
漁業、ギャンブルの元締め、十手持ちの3つの顔を持つ。

平手造酒(ひらて みき)・・・笹川の用心棒的な人。
腕が立つが、病気の身で死ぬまで戦う感じ。
キャラ的には新撰組の沖田総司みたいなもん。

勢力富五郎(せいりき とみごろう)・・・笹川の子分。
笹川繁蔵が飯岡助五郎に暗殺されて、仇討ちをしようとするが、失敗して自殺。
キャラ的には銀河英雄伝説で言う、ユリアン・ミンツみたいな人。

話の流れはというと・・・
佐原の笹川繁蔵と、飯岡の飯岡助五郎の賭場の縄張り争いを巡るケンカがあり、
最初の激闘は笹川が勝利するも、飯岡が公権力を駆使して笹川の勢力が削がれる。
ボロボロになった笹川は数年の雌伏後、復活。
笹川に再び仲間が集結、飯岡を再び倒そうとするが暗殺される。という流れです。
そして、これらの話は全て実話です。

ま、ガンダムの連邦軍とジオン軍、あるいは三国志の曹操と劉備みたいなもんで、
こっちがいい側、そっちが悪い側というような点には触れていないので、
それぞれの土地は、それぞれの出身の主人公を支持しているわけです。

その笹川側のほうにある記念館へ、この日訪問してきました。
それではレポします。



こちらがJR成田線の笹川駅。
周辺は商店街になっていますが、活気はあまりなく、
そこから先に行った利根水郷ライン沿いのほうが店が多い感じです。


駅から数分歩き、利根水郷ラインに沿って歩いていくと、
緑が茂っている場所が見えてきます。
途中の看板には「諏訪大神 天保水滸伝」とあります。


さらに利根水郷ラインを東方向に進んでいくと、入口が見えてきました。
「天保水滸伝遺品館 諏訪神社」とあります。

ちなみに写真の奥にみえる建物は「水滸亭」という名前の飲食店でしたが、
準備中で営業していませんでした。


看板の先に進むと、神社の参道の途中あたりに出てきます。
建物が見えるので、そちらのほうに進んでみます。


すると「天保水滸伝遺品館」がありました。
入ろうとすると入口が閉まっていました。
入口脇に貼られた紙には「入場券は水滸亭で買ってください」とのこと。
水滸亭はやっていなかったような・・・

遺品館の左にある建物を覗いてみると、観光案内所になっているようで、人が居ました。
その人に入館の旨を問い合わせたところ、博物館に入れてくれるという。

入館料は200円。
その場で支払うと、観光案内所に居た2人のうち、
かなり80歳ぐらいと思われる高齢の方がガイドしてくれるという。


写真ではわかりづらいですが、この建物は3つ部屋から成っており、
一番左が観光案内所、中央が博物館の部屋の1つめ、一番右が2つめの部屋という構成で、
中央と右の建物は中でつながっておらず、
博物館を全部見るためには1回外に出ないといけないという構造になっています。面倒くさい・・・



まずは中央の部屋。
天保水滸伝はもちろん、銚子が舞台のNHKドラマ「澪つくし」関連、
そしてこの地へ練習のために訪れる、相撲の力士の紹介。

天保水滸伝はかなり昔の映画、片岡千恵蔵、嵐寛寿郎、市川雷蔵あたりの人が主演なので、
じいちゃんガイドはよくしゃべるけど、俺にはちょっとわからん人ばかり・・・

相撲については後述。



そしてもう1つの部屋。
こちらは天保水滸伝の登場人物が実際に使用していたものの紹介。
さすがに「遺品館」と名前をつけているだけあって、他では見れないものばかり。
展示物の中で一番面白かったのは「侠客番付」。
名前はほとんど忘れましたが、清水次郎長なんかをはじめ有名な侠客が相撲の番付表に書かれており、
その中で笹川繁蔵、飯岡助五郎が見事ランクイン。当時の知名度が伺えます。

この遺品館周辺にある、天保水滸伝関連の観光物件の場所を確認して退館。


次は参道をそのまま進んで、諏訪神社へ。
神社自体は普通でしたが・・・


神社の本堂の右側には大きな広場があります。
そしてなにやら建物が見えます。


相撲の土俵ですね。

天保水滸伝の主人公2人は元相撲力士だったという共通点があります。
その絡みでここに土俵が存在しているようです。


ここには毎年夏に、出羽海部屋が練習のために訪れていて、
周辺の経済振興に役立っているそうです。知らんかった。
この部屋の人気力士といえば普天王なんですが、例の事件で・・・


諏訪神社を出て、次は延命寺へ。
ここには笹川繁蔵のお墓、平手造酒のお墓、勢力富五郎の碑があるそうです。
ま、ここの人から見ると敵である飯岡助五郎関連のものはありませんね。
ちなみに飯岡助五郎のお墓は、「File 021 福富雷童記念江畑美術館 」で紹介しています。


入口右側のほうに、石碑がいっぱい集まっている場所があり、
いずれも天保水滸伝のもので集められていました。

この写真の右の細長いのが平手造酒のお墓だそうです。


そして中央が笹川繁蔵のお墓、右が勢力富五郎の碑。
ついでに水滸伝発祥の地の碑、サイコロの形をした碑、などなど。

最後に笹川駅から利根水郷ラインを西側に歩いていくとある和菓子屋「あずき庵」へ。
天保水滸伝遺品館とコラボ?して販売されているどら焼き「相撲どら焼き」を買ってみました。


真ん中の丸ごとはいった栗がウマーでした。
「あずき庵」の店内には休憩スペースがあり、しかもお茶を出してくれるので、
ツーリングの休憩などに超オススメです。

こんな感じでした。
天保水滸伝の町だということは以前から知っていましたが、
これだけ相撲とのかかわりがあるとは全く思っていませんでした。
そして笹川から見ると敵になる飯岡助五郎の「そんなやつは居なかった」レベルのひどい扱いに笑ってしまったかも。
天保水滸伝の話を少し知っているというのが前提条件になりますが、
このレポを見て興味がでてきましたら、訪問してみてはいかがでしょうか?

以上、天保水滸伝遺品館をお送りしました。
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