File 144 原信子先生私設記念館

九十九里北端の町外れにある喫茶店に併設された記念館。
日本人オペラ歌手の先駆者として名を馳せた「原信子」先生の記念館とのこと。
はたしてどのようなところなのか?

喫茶店 桜椿亭(原信子先生私設記念館)
【所在地】千葉県旭市椎名内2650
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】車かバイクで。駐車場あり。


2010/12/19訪問

本日紹介する物件は、以前紹介した「座頭市」の物件調査が終わったあとに偶然見つけたもので、
そのときはお客さんがたくさん入っていたのと、時間も遅かったのでそのときは見送りました。
海沿いのスポットは冬の時期、お客さんが少なくなることもあり、気兼ねなく訪問できるこの時期に行ってみました。
しかし、バイクだと寒い・・・四輪が懐かしい・・・。


「九十九里ビーチライン」という名前のついている県道30号を走っていくと、
こんな看板がでている喫茶店があります。


雰囲気が違う2つの建物がくっついた感じになっており、
左が「原信子先生私設記念館」、右が喫茶 桜椿亭 となっています。
この季節にバイクで走ってきて体が冷え切っているので、
まず喫茶店で暖をとります。


喫茶店の内部。4人組が来店してて接客していたので、
とりあえず落ち着くのを待ちながら、コーヒーとパンを注文。


奥はイベントスペースのような感じで使われるようです。

額に入っているのは大半が絵画でしたが、その中の1つを見てみると・・・
この喫茶店のオーナー、山口昭二氏の写真が載った、コンサートのチラシのようなものがありました。
どうやら現役で活動している方のようでした。

山口昭二氏のライブ告知(消えるかもしれません)



コンサートはいつの告知かわかりませんが、81歳と書かれているので、
少なくともその年齢以上になるわけです。なんて元気なお方なんだ・・・。


接客が落ちついたようで、私のところにコーヒーのお代わりを入れに来てくれたので、
隣の記念館についてたずねてみたところ・・
紙が和紙風のかなり丁寧な作りのパンフレットをいただきました。
そして案内していただけるとのことなので、お言葉に甘えて拝見させていただくことにしました。


入口。
原信子先生の銅像があります。


表札。
入るとモコモコした巨大な犬が出てきてビックリ。
靴を脱いであがります。
撮影OKもいただきました。


入ってすぐのところ。
原信子先生の写真、新聞記事などがあります。
オーナーの山口昭二氏は、原信子先生の門弟の1人で、
同じ舞台で活躍していたそうです。

元オペラ歌手ということもあり、説明の時に口から発せられる声が、渋くてカッコイイ。
いかにもオペラ歌手の声で、正直、この声を聞くために来ているような気さえしてきます。


原信子は1892年生まれ1979年没。
まさに明治〜大正〜昭和の激動の時代を生きてきたわけです。
日本のオペラ創生期に帝国劇場の専属歌手となり、
そのあと海外を渡り歩き(アメリカ→イタリア)、
世界最高峰のミラノ・スカラ座の専属歌手となる。
その後は日本に戻り、海外オペラの日本語訳の本を出版するなどして、
日本のオペラ界の発展に尽力しました。


巨大な原信子先生の油絵を眺められるソファに座ると、
山口昭二氏が原信子の肉声が入ったテープを再生してくれました。
さすがに先駆者というだけあって、すばらしい歌声が部屋に響きます。
私が生まれるだいぶ前の時代なので、聴くこと自体が不思議な感じです。

ひととおり展示物を見た後は喫茶店に戻り、
少しお話して御礼をして店を出ました。

博物館に展示されているものは、まさに他で見られないものばかりですし、
題材もあまり知られていないがゆえ、興味をそそられるものがあります。
これは博物館的な物件を観るためには、非常に重要なポイントだと思います。
それにオーナーの人の良さ、オペラ歌手のような語り口もあり、期待以上の充実感がありました。

交通の便がかなり不便な場所にありますが、周辺には一息つけるような場所がないので、
ドライブ、ツーリングの途中にお茶するついでに、訪問するような感じが良いのではと思いました。

以上、原信子先生私設記念館をお送りしました。
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