File 142 アクアラインなるほど館

木更津と対岸の川崎を結ぶ海底トンネル、アクアライン。
そのアクアラインからかなり離れた、袖ヶ浦公園内にある博物館。
はたしてどのようなところなのか?

アクアラインなるほど館
【所在地】千葉県袖ヶ浦市下新田1133
【地図】googleマップ
【HP】袖ヶ浦公園のHP
【交通手段】車、バイクで。駐車場無料、かなり広いです。


2010/12/04訪問

総工費1兆4000億円をかけて、1997年に開通した東京湾アクアライン。
アクアラインの開通の結果、さまざまな経済効果が得られましたが、
アクアラインの影響で栄えると想定されていた「かずさアカデミアパーク」が破産するなど、
当初想定していたほどの利用がされず、さらに「ストロー効果」より、
木更津自体の住環境に悪影響を与えてしまうなど、経済的に伸び悩んでいました。

そこで救い船となったのが、2009年8月からETC使用者に限り通行料が800円になったこと。
高速道路1000円も同時に行われたことにより、利用が爆発的に伸びました。

参考:アクアラインの平均交通量
建設当初の想定交通量 1日64000台
平成17年度の実測交通量 1日12000台
平成20年度の実測交通量 1日29000台
(数字は上下線あわせて)

そもそも爆発的に向上したと言っても、
最初に想定していた数字自体がかなりかけ離れていることがおわかりになると思います。
一応周辺の旅行、レジャー施設の売り上げは20%向上したそうで、
ETC無しでも800円で通行できるようになってくれれば、さらに上積みが期待できると思われます。

そんな巨額のお金をかけて、千葉県の経済発展を一身に背負ったアクアラインプロジェクトですが、
やはりそれだけ規模が大きいと、広報施設があって当然なわけです。
私はそれに該当するのは「海ほたる」の中にある一角がそれだと思っていました。

ところが、先日ツーリングで海ほたるに寄った際、
その場所はスターバックスコーヒーになって、もともとあった広報施設スペースがほとんど潰されていました。

これで広報施設がなくなってしまったと思いこんでいたのですが、
アクアラインとは無縁そうな、袖ヶ浦公園の中に広報施設あるという情報を聞きつけたので、訪問してみました。


袖ヶ浦公園のメイン広場。
休日だけあって、子連れファミリーや、ペットの散歩、ランニングなどでにぎわっています。


こちらは「下池」。
カルガモが泳いでいます。
鯉とかもいるようで、それらの生物を日本庭園風に眺める場所のようです。


そしてもう1つ、「上池」。
こちらはかなり広く、地図でもよく見えます。


「上池」に沿って博物館のほうに向かいます。


途中に「上総堀りの技術」とありましたので、ちょいと見てみます。


実物大の「上総堀り」の道具。
「上総堀り」とは、この地発祥のこれらの道具を使って井戸を掘る技術のことです。
この先にある郷土博物館の1コーナーも上総堀りに使っており、
袖ヶ浦の有名な文化であることをアピールしています。


縄文式と弥生式の住居が2つ並んでいます。
ほぼ完璧に管理されており、すばらしいコンディションを保っています。


郷土博物館をすぎると、ようやく建物が見えてきました。
「アクアラインなるほど館」です。


残念ながら中は撮影禁止なので、写真はありません。

入るとすぐのところに受付があり、
県内か県外かを尋ねてきます。
県内ということを伝えると、県内の欄に正の字で線を追加するだけ。
とりあえず中に入ると、奥行き20mぐらいのそれほど広くない空間があり、
中央にたくさんイスが並んでいます。

周囲の壁にはアクアラインの模型、工事に使った道具、
工事の技法的な説明が書かれた板が陳列されていています。
そして天井にはプラネタリウムのように、豆電球と線が配置されています。
どうやら椅子に座ってそれを見るようなのですが、
そういう展示は睡眠時間の足しになるのがオチなので、見るのはやめておきました。


撮影禁止でイメージが浮かばないと思いますので、パンフレットのスキャン画像をどうぞ。
クリスマスツリーの電飾みたいなのがソレです。

博物館そのものが狭いので、じっくり見たつもりがあっというまに見終わってしまい、
建物を後にしました。

こんな感じの場所でした。
正直言って、また来たくなる場所とは言い難いです。

説明されている技術は、大人が見ると少しはなるほど、と思うかもしれませんが、
おそらくメインのターゲットである小学生中学生の人が見ても、
退屈なだけで関心を示さないと思うのですが・・・。
おまけに展示物のほとんどはガラスケースの中で触れないし。

こういうふうに作りました、はいそうですか、で見学が終わっていては勉強にならない。
なぜ、この技術を使った、この技術を使わなかったらこうなった、この技術は他に使えないか、というような、
考えが発展するようなものが、この展示内容では全く生まれないと思います。

富津のほうに「TEPCOエネルギーパーク」という施設がありますが、
あれこそ見学したものが知識に発展する、いい場所の例だと思います。
こういう箱モノ施設は、そこを見本にしてほしいと思います。
最低限、シールドマシン(トンネルを掘る機械)の刃ぐらいはさわれるようにするべきで、
こんな刃であんなトンネルが掘れるんだ、というような知識ぐらいは得られれば良いとは思うのですが・・・。

また、アクアラインと関連性が無い立地も良くないと思いました。
アクアラインを利用している人に一番みてもらう必要がある施設なのに、
対岸からの利用者が目的地にするとは考えにくい、袖ヶ浦公園にあること自体がおかしいし。

そもそも広報施設のありかたとして、
アクアラインを利用している人に、現在の800円以前の料金でも「高くない」と思わせる、
説得力と内容のある展示をしなければいけないはずなのに、それが全くできていない。
作り直しも視野に入れて、見直すべきだと思います。

いろんな意味でガッカリ、そして有り方を問いたくなる施設でした。
というわけで、私的にはオススメできないスポットでした。


以上、アクアラインなるほど館をお送りしました。
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