File 140 天然ガス井戸発祥の地

関東地方の一部には、日本国内の9割の埋蔵量を誇る「南関東ガス田」が存在します。
その中で日本で最初に天然ガスの採掘が行われた場所が大多喜にあるという。
はたしてどのような場所なのか?

天然ガス井戸発祥の地
【所在地】千葉県夷隅郡大多喜町上原
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】いすみ鉄道大多喜駅からバスで「上原」バス停へ。


2010/11/21訪問

私は現在八千代市に住んでいます。
4年前にここへ引越ししてきた際、水道、電気、そしてガスなんかを契約するわけです。
このガスの契約のときに出てきた会社が「大多喜ガス」でした。
京葉ガスとか東京ガスならまだしも、八千代からバイクで走って100キロ近く距離がある場所の企業が、
ここ八千代でガスを売っているということにビックリしたわけです。

その後「ちば観光文化検定」を受験するために勉強してきたわけですが、
千葉における天然ガスの生産は、「南関東ガス田」があることから、世界を見てもトップレベルの生産量であり、
そして、天然ガスを採掘する際に発生する「ヨード」は世界一の生産量を誇るという知識を得たわけです。
(※リサイクルされたものを入れると、チリがトップです)
「南関東ガス田」のガス埋蔵量は今のペースで使用しても約100年分あり、
少なくとも私が生きている間は、ガス資源に困らないということになっています。

しかし、ガス=大多喜というのがいまいち結びつかないということもあり、
この日、大多喜の街にあるガス関連の史跡を見てみることにしました。


いすみ鉄道、大多喜駅。
いすみ鉄道はここ2年間の活動の実績が認められ、存続が決定しました。
今日見かけた「ムーミン列車」にはお客さんがたくさん乗っていましたので、
しばらく経済的には困らなさそうです。この調子でがんばってほしいものです。


大多喜の市街地。
千葉県の城下町的な観光地としては、大多喜がトップだと思います。
他の観光地はここと比べると大変見劣りするぐらい、すばらしい街並みを誇っています。


大多喜城。
徳川四天王の1人、本多忠勝の居城として有名です。
ただ、今あるお城はコンクリのお城で博物館兼展望台という感じで、
木製の内装とかを想像していたら、拍子抜けすると思います。


物件の場所へは、この橋をわたります。
この橋から先は雰囲気が変わり、大多喜の観光の中心からはずれるような感じになります。


しばらく進むと、「上原」というバス停があります。
その左側にあるものが・・・。


石碑に「天然瓦斯井戸発祥之地」と彫られています。
ここが日本で最初にガスを採掘した場所ということになっています。

ここで言う「天然ガス」というのは、ガスが水に溶けて混じっている状態の「水溶性ガス」のことになります。

この土地の持ち主が普通の井戸を作るべく、この場所に穴を掘っていたところ、塩水ばかり出てきました。
気落ちしてタバコを水中に投げ込んだところ、青い炎を発したということです。
この「事件」があったあと、大多喜の各地で同じ物体を掘り出す井戸があっちこっちで掘り出され、
大多喜の街の住民は、この天然ガスを長い間、生活の中で利用してきたそうです。


当然、このガス採掘を商売にするところも出てくるわけです。
この地のガスで商売を始めた会社が現在も大多喜にあるということで、次はそこを観にいきます。


いすみ鉄道の高架の脇に道がありますので、そこに入ります。
写真の右のところです。


すぐのところに、こんな空間がありました。
門柱の横に、史跡だと示す看板が出ています。


看板をチェック。
「関東天然瓦斯開発株式会社」とあります。
大まかに説明すると、明治時代にここのガスを広め、周辺地域の発展に貢献したと。
しかし、現存する「大多喜ガス」との関連性が無い様に見える・・・。


敷地の奥に、古めのモダンな建物が見えます。
右のほうに看板が見えるのでズーム。


ビンゴ!大多喜ガスと書いてあります。

帰宅して調べたところ、「大多喜ガス株式会社」という会社は、
東京の企業が昭和32年に「関東天然瓦斯開発株式会社」から大多喜における事業を譲り受け、
それと同時に「大多喜ガス株式会社」と改名したそうです。
大多喜、茂原、一宮の3拠点で採掘を行っており、関東の一部地域で供給されているとのことです。
その供給されている地域の中に、私の住んでいる街、八千代市が含まれていたわけです。

こんな感じです。
大多喜の街は江戸時代を中心にさまざまな種類の歴史的遺産が多く、
今回のレポの場所は比較的新しいためそれらの中では見劣りしてしまい、あまり知られておりません。
しかしこういった歴史もしっかり保護しているあたり、大多喜は侮れない。

他の町での最悪な例を言うと、千葉市稲毛区は市街地化重視のために、
現存していた貴重な戦艦をあっさり潰したりして、今のような味気ない街になってしまった。
そういう行政は将来につながらない。反省してほしいものです。
参考:http://www2.famille.ne.jp/~kurimata/tabi02.html


大多喜の街はいすみ鉄道存続決定の勢いで、観光地化の手ごたえを感じているはずです。
大多喜は千葉県の中でも、現在でも一番観光面での発展が期待できる街だと思いますし、
今も街のあっちこっちに何かが作られている感じがします。これからもがんばってほしいと思いました。

以上、天然ガス井戸発祥の地をお送りしました。
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