File 120 大黒山展望台

勝山港近くの山の頂上にある、城のような建造物。
はたしてどのような場所なのか?


大黒山展望台
【所在地】千葉県安房郡鋸南町勝山以下不明
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】車をとめるところが周辺にありません。周辺の港の適当なスペースに停めて徒歩移動で。

2010/06/20訪問

千葉でどちらかというと人気の観光地である保田周辺。
「ばんや」を始めとする漁師料理の店、幾多の海水浴場、
ちょっと走って北の金谷まで行けば久里浜までのフェリーが出ているし、
少し南下すれば富浦、もうちょっと行けば館山まで行けてしまいます。

その「少しだけ南下」のところですが、
勝山という場所はドライブや観光地としては存在感が薄く、
目的地として設定するような場所ではありません。基本的に通過点でしかないと思います。

そんな勝山の風景にまぎれて、小高い山の上に城のような建物がある場所が見えます。
そこが今回レポする場所、大黒山展望台です。




千葉市市街地から館山まで海岸線に沿って続く道路、国道127号。
この道路で安房勝山駅周辺を走っていると、
ご覧のような山の上に城がある場所があります。

この写真は勝山港から撮影したものです。



城のアップ。

源平合戦の頃の1180年、対岸の小田原で「石橋山の戦い」があり、
源頼朝は大敗し、船で安房まで逃げてきて、たどり着いたのがこの地なのです。
その上陸したところの近くにあった城が「勝山城」で、そこの城主を頼ったということです。



127号の勝山市街地の中から、大黒山展望台という看板を発見。
前述の城のようなものがある山は「大黒山」と呼ばれているようです。
看板に従って進みます。


細い路地を進んでいきます。


展望台の入口まで来ました。

この周辺にこの展望台の観光用に駐車場は用意されていないようで、
少し遠いですが、漁港近くの海釣りをしている人が停めてるところにまぎれて停めて、
徒歩でここまで来たほうがよいと思います。


少し歩くと、山の中に階段が続いています。

近くの看板には登頂までの目安時間が10分と書かれていましたが、
実際に登ってみた結果、人によっては正しいです。

なぜか?
それは登頂時間が登る人の体格、体力に依存するからです。

この写真の階段の丸太っぽいところは、500mlペットボトル1本分ぐらいあります。
その後、2リットルのペットボトルと同じ高さになってきます。
それが頂上まで続いていますので、体力に自信が無い方は登るのをやめたほうがよいかと思います。



やはりというか、外から山をみるとへんてこな形していましたし、
落石が多いようです。
道中には石牢や、千葉県の捕鯨の始祖、醍醐新兵衛のお墓などがあります。



道を作ったというより、道の形を保つための工事がしてあるという感じです。


上が近づくにつれて、階段だったと思われる箇所の丸太だけが浮いてきています。
丸太の上の部分に足を置くようにバランスをとりながらのぼっていきます。
もちろん土のところに足をついて登ってもかまいませんが、
2リットルのペットボトルの高さだけ足をあげることになりますで、余計疲れます。



風雲たけし城状態がしばらく続き疲労困憊の中、
ようやく頂上までたどりつきました。


って・・・アレ?城じゃない・・。



くぐって正面に出ると、上だけ城の形をした建物が。
これが外からだと、山の頂上にある立派な城に見えたのですが、
それとはかけ離れたハリボテのような城でした。


階段をのぼってみたところ。
なぜか七福神の1人が設置されていました。それ以外は何もありません。


外周に出てみると、電気の配線がひっぱってあったので、調べてみます。
配線の先はライトで、夜になるとライトアップされるようです。
夜にこのあたりを走ったことはないので、ライトアップが実際に行われているかはわかりませんが。



柵をよくみると、ものすごいボロボロで風化が進んでいます。
海の近くの建物は塩害防止を考慮していないと、こんな感じになってしまいます。



望遠鏡はレンズが抜けて、何かの顔みたいになっています。



勝山の町並み。いい景色です。
惜しむべきは天気。晴れていればもっと美しい景色だったんでしょうね。



勝山港。



ここまで読んでいただいて、ここにはもともと城があった、という先入観が植え付けられたと思いますが、
実は「勝山城」という城、ここにはありませんでした。
普通、もともと城があった場所に城のような建物を立てるのが普通だと思いますが、ここは違うのです。

この港の写真の左上のほうにちょっとした山がありますが、そこが本当に城があった場所です。
城は江戸時代の頃に無くなっており、代わりに神社が建っていますが、
現在は道が崩れてしまったため入れないようです。

じゃあ、今いるこの場所は何なの?ということになりますが、
城の形をした展望台があるだけの場所なのです。



展望台の下にある記念碑です。
よく読めばわかりますが、
「ここがもともと城だった」ということは一言も書いていません。
だから街にある案内板にも全て「城」とは書かずに「大黒山展望台」と書いてあったわけですね。
どうせならもともと城があった隣の山に、同じ形の展望台を立てればよかったのに、
そうしなかったというのがなんとも・・・。
観光協会あたりがハッタリの天守閣を作ってお客さんを集めて、一大観光地にしようとたくらむも、
見事に観光の質で金谷・富浦に負けてしまって悔しがっているという背景が想像できます。

高いところから景色を見るという観点ではすばらしい場所ですが、
それ以外では登頂に必要な体力や、例の階段で足をすべらせる危険性、
落石、ヒルがいるかもしれない森、いろいろな面でオススメできない場所でした。

以上、大黒山展望台をお送りしました。
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