File 118 SHIRASE 5002

老朽のために退役した南極観測船「しらせ」を、
ウェザーニューズ社が買い取り、改修後公開を行っている。
船橋港にできた新スポット。


SHIRASE 5002
【所在地】千葉県船橋市の海上(千葉港葛南区)
【地図】googleマップ
【HP】SHIRASE乗船予約ページ
【交通手段】乗船の際は新習志野集合。現地に直接行っても、港周辺は立ち入り禁止のため入れません。

2010/06/06訪問

2008年に、南極観測船「しらせ」が老朽化のために退役しました。
この「しらせ」は過去最大級の大きさのため、維持費が高く、他の用途で使うことも難しく、
自衛隊の船ということで他国に売ることも難しいので、そのまま壊されることになっていました。
ところが取り壊しの際に鉄の相場が下落し、想定していた費用で行えなくなってしまいました。

宙に浮いてしまった「しらせ」を買い取ったのが、ウェザーニューズ社でした。

ウェザーニューズ社は「しらせ」の内部改修を行い、
船橋港に係留して、自社の情報発信の場として活用することになりました。
そして今年の5月から内部の一般公開が行われるようになりました。
予約開始直後からいきなり満杯になるなど予約が難しく、土日はいつも一杯。

私はというと毎日予約サイトをチェックし「次の週が表示されるタイミング」ですぐに予約。
一般公開開始から1ヶ月後、本日ようやく訪問に至ったわけです。


集合場所はJR新習志野駅。交通面で微妙に問題がある駅です。
一般公開は1日に3回おこなっており、私は12:30の回での参加となりました。


12:20頃、集合場所へ向かうと、予約確認の名簿チェックを行っていました。
写真付きの身分証明を持っていないと、この時点ではねられてしまいます。


このバスに乗ります。
1回の参加者はおそらく15人を想定しているかなと。
このバスで「しらせ」が係留されている場所まで移動します。

とはいっても秘密の場所ではなく、サッポロビール工場のすぐ隣で、
ジンギスカン食べ放題のレストランからみえるところにあります。


到着。ちなみにこの場所まで車やバイクで来ても入れません。

「SHIRASE 5002」とあるのは、
今現役の新南極観測船も「しらせ」という名前を襲名しており、
旧しらせの艦番号が「AGB−5002」のため、こう記述されています。


早速乗ります。
「しらせ」に乗るための階段は2つありますが、
片方が現役時の階段、もう1つは後でつけたものですが、
現役時の階段のほうで登れます。


狭い通路を歩いていきます。


ミーティングルームみたいなところに到着。
ここでスタッフの紹介、ヘルメットの着用、
その他見学のための諸説明を受けます。


説明が終わったあとは、ガイドについて船を回ります。


歩いているだけでも、非日常的な風景で楽しい!


最初に到着したのは甲板。


このしらせの特徴である船首の説明など。

しらせが前方の氷を割る方法はというと、
氷に向かって突進→乗り上げてヒビを入れる→後退→ふたたび突進の繰り返しだそうです。
そのため他の船とは構造が違いますし、衝突の衝撃に耐えられる設備が必要だそうです。


船員の部屋。この部屋は8人部屋でした。


食堂。
イスが変な角度でテーブルに刺さっていますが、
前述の衝撃でイスが散り散りにならないように、テーブルに固定できるようになっています。
また、テーブルの角にストッパーみたいなものがあり、
テーブルの上のものが床に落ちないようになっています。


食堂にあった写真。
彼は日本人初の南極探検を行った、白瀬矗(しらせ のぶ)陸軍中尉です。
この船の名前の由来は諸説あるようですが、彼の名前が使われている説が有力だそうです。


医務室。
長い航海では必須の施設ですね。


手術室。
船の上で手術って嫌なシチュエーションですね・・。
他にも歯科用の部屋もありましたが、中には何もありませんでした。


なんと、お酒用のロッカー部屋。
寒いところではお酒は必須なんでしょうね。


理髪室。


名前はタイガーカットハウス。いい感じです。
船員全員無料だそうです。


カルチャースクールの部屋。
TVすら無い生活ですから、どうしてもこういうのは必要なんでしょうね。


船員の部屋。さきほどの8人部屋よりはマシだけど・・。


船の後方の甲板へ。
見た目のまま、ヘリポートの役目を果たしています。


脱出艇。南極でこれに乗るハメになりたくないな・・・。


ようやく上まで来ました。
巨大船にありがちなエントツ部分。


さきほどの甲板を見下しながら東京湾を眺める。うーん絶景。


望遠鏡。
ナメてました。ビックリするぐらい遠くが見えます。
そりゃ遠くが見えなければ設置する意味がないですけど。


しらせの一番高いところの部屋。指令塔っていうのかな?


なんだかわからないけどカッコイイ。


内陸側を見てみる。
右の球形がサッポロビール工場の見学施設、
通路をはさんで中央の建物がビール飲み放題、ジンギスカン食べ放題のレストラン。
ちなみに食べ放題のコースは肉の良さで値段が高くなる感じですが、
タレの味が強いので、どれを選んでも味が変わらないような気がします。


そして操縦室。ブリッジともいいます。


前面の氷の位置で、船体のどこにパワーをかけるかが選択できるように、
左、中央、右でそれぞれ異なるパワーがかけられます。


こちらはパワーをかける方向を調整するダイヤル。


そしてお決まりの舵。
全然力をかけなくても、抵抗なくスルスル回ります。


操縦室の裏にはレーダー基地みたいな施設があります。
残念ながら動作していませんが、見ているだけでワクワクします。

写真はありませんが、他にもウェザーニューズ社の発信している、
気象情報、地震情報等をPCに映し出して、
どういう活動をしているかという説明もありました。


操縦室から最初のミーティングルームに戻り、
短冊に感想を書いて、船内の観葉植物に吊るして終了となります。


ようやく下船。
12:30スタート14:30終了と2時間かけての見学でした。
帰りのバスの中で乗船記念として、パンフレットをいただきました。
パンフレットには、SHIRASEの写真や側面図、平面図などがあります。
これまた出来が良くて、無料でいただけるのがうれしいです。

全体的な感想ですが、見るだけなのに正直面白かったです。
2時間もかけているだけあって、迷路のような船内をくまなく回ります。
ところどころでガイドさんがきちんと説明してくれますし、
展望する場所や操縦室の見学に時間をかけてくれるし、スタッフが多いのに無料なのがすばらしいです。
これは見ておかないと大損です。
見る前にたちはだかる難問がほぼ満杯のインターネット予約ですが、
それを乗り越えて見る価値は十分にあります。
千葉県のみならず、日本全国の皆様にぜひとも訪れていただきたいスポットだと思いました。


以上、SHIRASE 5002をお送りしました。
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