File 117 伏姫籠穴

「南総里見八犬伝」の冒頭で語られる、
伏姫(ふせひめ)と八房(やつふさ)が一緒に住んでいたとされる洞窟。
はたしてどのような場所なのか?


伏姫籠穴(ふせひめろうけつ)
【所在地】千葉県安房郡富山町以下不明
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】バイクか自動車で、自動車は小さめを推奨。

2010/05/22訪問

この日はバイクで人気の無い道を走ろうと思い、
県道258号を走っていたところ、「伏姫籠穴」の近くを通りました。
以前訪問したとき見れなかった、あるモノがどうなっているかを見にいくために寄っていくことにしました。

里見八犬伝についてお話を。

私が周りに聞いた限り、話を正しく覚えている人はほとんど居ませんでした。
つい以前までの私も、その中の1人でしたが・・・。

理由としてまっさきに思いつくのが、
映画(真田広之、薬師丸ひろ子、夏木マリのアレ)は原作と話が全く違うということ。
そして滝沢馬琴の原作が全部で106巻ありますので、
TVや漫画といったメディア用にまとめること自体が難しいというのがあるのかもしれません。

簡単にとは言っても長くなるが、あらすじを書いてみます。

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安房の大名、里見家が滅ぼした大名の呪いが1匹の犬「八房」に宿っていました。
里見家が他の国に攻め込まれ、滅亡寸前になったところを、領主である里見義実が
「誰か敵の首をもってこい、とってきたものには娘である伏姫を嫁がせる」と言ったところ、
「八房」が敵の首をとってきてしまう。
義実は嫁がせるのを断るも、伏姫は約束だからと八房と一緒に穴に篭ることになりました。

数年後、八房の妖気で伏姫が妊娠してしまいます。
自殺しようとしたところを里見家の家臣に見られ、家臣は八房を殺してしまいます。
八房が死んだので、義実は伏姫のもとに行くが、お腹が大きくなった伏姫に驚く。
妊娠=八房と獣姦したという話になってしまうため、
伏姫は自ら切腹してお腹を開き、身の潔白を示そうとします。
すると、お腹からは8つの珠が出てきて、それが八方に飛び散ってしまいます。
義実は家臣に8つの珠を集めるように指示するが・・・。
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あらすじとは言っても、これだけの話を巻数にすると10冊を消費しています。長い。

そのあらすじにあたる出来事があった場所が、今回のスポットである伏姫籠穴なわけです。


県道258号を走っていくと、こんな看板が出ている場所があります。


進んでいくと、つきあたりに富山中学校があります。
その中学校の右側に細い道が続いていますので、そこを進んでいきます。


あまり舗装がよくない山道になってきます。
しばらく進むと・・・


さっきまでの山道がウソのような、きれいな城壁風の建造物があります。


門の上の額には、伏姫籠穴とあります。
全くヤレていないので、作ってからあまり時間はたっていないと思われます。


門をくぐると、整備された道が続きます。
草や道の手入れがなされているので、地元の人がこの場所を大切にしているのがよくわかります。


道をしばらく進んでいくと、舞台のようなものが見えてきます。


舞台のような場所。
前に行ったときはここに何かあったような気がするのだが、
今回はありませんでした。ここにあったものは何処へ行ったんだろう・・。


舞台を囲む柵の柱は8つの珠があり、それぞれに八犬士の名前が刻まれています。


せっかくなので、八犬士の特長とかを書いておきます。

【孝】犬塚信乃戍孝(いぬづかしのもりたか)
8人揃うまでの、話の軸となる人。主人公的な人なので、イケメン描写が多い。
八犬士の中ではもっとも日常的な生活をしている人で、感情移入がしやすい。

【仁】犬江新兵衛仁(いぬかいしんべえまさし)
八犬士の中で唯一、人を殺すことができない。
ただし、それ以外の能力に関しては他の7人をはるかに上回る超人。

【義】犬川荘介義任(いぬかわそうすけよしとう)
家族がばたばた死んだり、複数の無実の罪を着せられるなど、不幸続きの人生を送る。
不幸オーラを力に変えて頑張る、不屈とか根性とかという言葉が似合う人。

【礼】犬村大角礼儀(いぬむらだいかくまさのり)
書を読み漁り、外とのかかわりを持ちたくない、ヒッキーな人。
物事を冷静に判断し、何事も普通に処理する面白くない人。

【智】犬阪毛野胤智(いぬさかけのたねとも)
いわゆる軍師にあたるキャラ。
見た目は八犬士で一番美しいが、からかったりするのが好きで嫌な性格。
女装して仇討ちをしたりしたという話があるためか、映画等では女性が演じていることが多い。

【忠】犬山道節忠与(いぬやまどうせつただとも)
火遁の術を使いこなすが、頭がパーで何も考えないで行動する人。
目先にこだわって遠回りになる猪突猛進的な性格ゆえ失敗が多く、八犬士では一番使えない。

【信】犬飼源八信道(いぬかいげんぱちのぶみち)
自信家で八犬士の中で唯一、武芸の修行を積んでおり、戦うことに関しては達人。
もちろんバトルでは一番活躍する。
この人が1人で橋を守り、4万の敵を通さないという、
三国志の長坂橋の張飛をパクったシーンがある。

【悌】犬田小文吾悌順(いぬたこぶんごやすより)
お相撲さんで、もちろん力担当。いなかっぺで素直でだまされやすい。
もちろん力があるからには、戦うときは活躍する。


こんな感じです。どれもこれも癖があるメンツです。
当時は今みたいにマンガや小説が氾濫していないので、
こういうキャラの設定は斬新で、かなりワクワクする話だとは想像できると思います。


舞台のような場所からさらに階段を登っていきます。
すると・・・。


この伏姫籠穴の説明とともに、門があります。
この看板に書かれている文を書くより、
私が上のほうに書いたあらすじのほうが意味がわかると思います。


門には鍵がかかっています。もちろん開きません。
鍵はさびていて、長い間開閉をしていないことがうかがえます。




ここで久々の空撮マシン、ハトポッポLOOPY号の出番である。
(※前回の登場は総武はな遊園の回を参照)
前回は生検後退機能がついていたため後退してしまいましたが、
今回は粘り強くミッションを実行するルーチン「Saitei-DEMO」を搭載したため期待できます。
それゆけ!ハトポッポLOOPY号!


門を突破し、階段をつたっていきます。


伏姫籠穴の石碑と、その穴が見えてきました。
もちろん穴のほうに入るように指示します。


入口にはなにやら白い珠のようなものがあり、奥にもなにやらころがっています。
札のようなものがありますが、暗くて判別不能です(※フラッシュ焚いています)


奥のほうの珠。間違いなく八犬士の珠です。
それにしてもレイアウトというか、飾り方が残念。
もっと観光客に見せられる、いい置き方がなかったのかなあ・・。
とは言っても、観光客がここに入る可能性がほとんど無いわけですから、
それを考える必要がなさそうですが。



ハトポッポLOOPY号に珠をつかませて持ってこさせようとしたところ、
「重いがーオモイガー」といいながら自ら壊れてしまったので、その場で捨てていくことにします。


入口まで戻ってまた城壁のような門をながめていたところ、犬塚なるものが見えたので撮影。
もちろん八房のお墓ということになるんでしょうね。
一応フォローしておきますが、
八房は呪いの犬ということで話の中では化け物のように扱われているように見えますが、
殺された後は八犬士がピンチになると、伏姫とともにそれを助けてくれる霊犬となります。


こんな感じの場所です。
里見八犬伝に興味がもてるように話をちょこちょこ入れてみましたが、いかがでしたでしょうか?
今後スポットを巡る候補として、里見八犬伝の伝承がある場所は避けて通れないので、
こういう感じで少しずつ全体がわかるような感じで、レポを作っていきたいと思います。


以上、伏姫籠穴をお送りしました。
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