File 111 小野次郎右衛門忠明生誕地公園

江戸時代に柳生新陰流と並ぶ勢力を誇った、
小野派一刀流の始祖、小野忠明が生まれた地。
巨大な刀のオブジェは外部から見えず、無駄な輝きを放っている。


小野次郎右衛門忠明生誕地公園
【所在地】千葉県南房総市御子神9
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】車かバイクでどうぞ。

2010/04/10訪問

私は毎週週末、千葉のスポット捜索に奔走しているわけですが、
そのときのルート選択は、どうしても走りやすくかつ、走って楽しい道を選びがちになります。
千葉を南下する道は大きくわけて3つあります。
1つ目は内房(木更津、君津、館山)を海岸沿いに走る。
2つ目は外房(九十九里浜、勝浦、鴨川)を海岸沿いに走る。
3つ目は真ん中、「房総半島の背骨」と言われる国道410号を走る。
基本はこの3択になります。

この3つの中で、私が走って楽しいと思うのは、3つ目の道です。

そりゃ1つ目と2つ目は景観的には変化に富んでいますし、
海の近くを走っていますから、暑い季節には気持ちよいです。

ですが、バイクに乗っているわけですから、
クルマが少なくて、高低差が激しく、コーナーが多い、
そういう道を走りたいわけです。なので、どうしても国道410号を選んでしまいます。

その国道410号の終点に近い、南房総市に突入したあたりは、
なだらかなまっすぐな道が続く場所が多く、誰もが結構なスピードを出して走っています。
そのスピードが高いのが災いしてか、
ほとんど気がつくこともなく、通り過ぎてしまう場所があります。
それが今回レポする「小野次郎右衛門忠明生誕地公園」になります。



国道410号から見える看板はこんな感じ。
1キロ前ぐらいに「○○まであと1キロ」のような看板があればよいのですが、
本当に公園の前にしか無いので、看板に気がついても車の流れが速いので、
止まるのをためらうとあっさり通りすぎてしまいます。
交通量の多い幹線道路にあるのに、潰れる飲食店なんかがそれに該当しますね。


入口の立派な表札。ちゃっかり木刀を意識した造りになっています。
公園の手前に申し訳ない程度の道路がありますので、
そこにバイクをとめます。


その表札のすぐ横に、とんでもない高さの階段が待ち受けています。
普段この公園を使う、近隣の住民の年齢層を全く考慮していないような・・。


そして登りきると、こんな感じの空間が広がっています。
巨大な刀のオブジェと、円を描くように置かれた石。


実はこの公園は数回行っているのですが、
植えられた木のほとんど桜だということに気がつき、レポ化を見送っていました。
この時期に行けば素晴らしい写真が撮れそうだなと思っていたのですが、
残念ながらピークは過ぎていました。


石に彫られているのは恵方の方位って言うのかな?
ムダに細かいところに力が入っています。


刀のオブジェの下には千葉の地図が書かれていますが、アバウトです。
とりあえず刀は真北を向いているようです。


刀のオブジェを裏のほうから見てみると、刃文(はもん)がちゃんと入っています。
結構美しいです。


公園の奥のほうに進んでみます。


水飲み場。ムダに凝っています。

このデザインは「吾唯足知」、読み方は「われ、ただ、たるを、しる。」を模写したもの。
京都にある竜安寺というお寺にこの文字が彫られた「つくばい」があるそうです。
つくばい=水がたまっている石の桶みたなもの。


そして、ここがいい写真を撮れると思った場所。

理由は不明ですが、桜の木が等間隔で円状にならべられています。
桜が満開のときに、ここの中央から見ると、
かなりいい景色が見られるんじゃないかな〜と思ったのですが、
どうやら自分の思い違いのようでした・・・。


公園の脇に並べられた石碑。
小野派一刀流の剣道大会があるようで、
それの歴代優勝チームが刻みこまれています。

こんな感じの場所です。
オブジェがムダに細かく造りこまれていたり、
一定の形になるように物が配置されていたりするあたりは、
この公園を設計、企画した人はかなりのプランナーだと感じました。
この公園を設計した人の他の公園が見てみたいと思いました。

しかし同時に、惜しむべき点も多いと思います。
まず、この公園が高台にあって、外の道路から全く見えないこと。
この巨大な刀のオブジェは気合がはいっているわりに空回り。
最低限でも、道路から見えるようにおくべきでした。
そして、小野忠明の名前をあまり生かせてないところ。
小野忠明の年表とか、
一刀流はどういう剣術思想なのかの説明板を置いたり、
剣道の試合場をここに作るとか、遊ぶための竹刀を置くとか、
剣術に特化したものを作れば、それらしい公園になるはず。
あと、自動販売機が置いていないこと。
ドライブ、ツーリングの途中で休憩する場所にすれば、
もっと寄る人が増えるかなと。
それ以前に、あの階段をのぼって休憩するって、
登る前から疲れている人はどうすりゃいいの・・

この巨大な刀のオブジェに惹かれるのなら、一目見るのもよいかなと思いますが、
B級スポットに興味のない普通の人の場合は、寄る時間がもったいないので、
止まらずに国道410号を走りぬけて、南国ライフを味わったほうがよいと思います。


以上、小野次郎右衛門忠明生誕地公園をお送りしました。
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