File 089 鴎荘

「舞姫」などの名作を残した昭和の文豪である、森鴎外。
彼が作品を作るときにこもったという別荘が、九十九里の浜辺近くにあるとのこと。
果たして森鴎外の別荘とはいかなるものなのか?


鴎荘
【所在地】千葉県いすみ市日在2213?
【地図】googleマップ
【HP】ありません。
【交通手段】JR三門駅から海方向へ1キロ。

2009/11/15訪問

千葉観光検定やら、房総学検定やら受検しておりますと、郷土の偉人の問題が、
少なからず出てきます。その中の1つとして、森鴎外が出てきます。
なぜ出てくるかというと、九十九里の浜辺近くに別荘を建てて、
そこで創作活動を行っていたためです。
そしてその別荘の向かいには中国の革命を大いにたすけたという人物も住んでいたという。
これだけ大物が住んでいたにもかかわらず、写真等がないし、観光的にも全く宣伝されていないので、
実際に訪問して、そのあたりはどうなっているかを調べてきました。


森鴎外別荘周辺への最寄り駅は、JR三門駅になります。
ごらんの通り、無人駅です。


今ここ。千葉まで950円、東京まで1620円。結構しますね。


ホームに出てみます。

何もないのでさっさと物件を探しにいきます。


三門駅から東にある交差点をそのまま直進し、
すぐ右にある、わき道を進んでいきます。
側溝が中央にあるのが目印です。車でもなんとか通れますが、ゆっくり走ってください。


ゆっくり走っていくと、開けた場所に出ます。
ナビではこのあたりが目的地になっています。


左側に書いてあるのは、梅屋別荘跡地。

梅屋庄吉なる人物の別荘だそうです。
彼は映画会社「日活」の創業者です。
また、孫文に出資して辛亥革命に協力したことで有名だそうです。
さらに、対中国外交で政府に意見を言える立場にあった人のようで、
この別荘に中国のおえらいさんを呼んで、会談をしていたそうです。


石碑に書いてある愛用の井戸はどこかな〜と探したらかなりの高台に。
右上にちょろっと見えているのがそれです。
バリアフリーに逆行して、上るところは全くありません。
当然よじのぼることになります。


井戸をのぞいてみたけど・・・
何もないです。

目的の鴎荘へ移動します。


行き止まりの看板が出ています。
梅屋別荘跡地周辺は車がとめられるスペースが多いので、
車はそのへんにとめて、歩いていきます。

この路地に入ってすぐの右手に見えたものは・・・。


お、どこかの写真で見た入口が見えてきました。目的地はここです。
ネット上でここの写真は、この入口の門のものしか見当たりません。
また、サイクリングコースの観光ポイントみたいな感じでここを設定しているようですが、
それ以外の広報的な要素でこの場所は宣伝されていませんでした。なぜなんでしょうね。

近寄ってみます。


良い感じです。まさに別荘地という感じ。


表札。L・MORIとあります。
森鴎外の子孫が住んでいると考えて問題なさそうですね。


敷地はお世辞もきれいにメンテナンスされているとは言えないですが、
別荘地だからこんなものでしょうかね。


建物は比較的新しいです。
この場所は「鴎荘」ではなくて、「鴎荘跡地」という表現が正しいようですね。
ともかく昔ここに建っていた建物が、森鴎外の創作活動の場であったということです。

ここを出て海のほうに歩き、森鴎外が好んだと言う日在の自然に触れてみます。


行き止まりと看板が出ていますが、先には道が続いています。
見てのとおり車では通れませんが、歩きでは問題ありません。進みます。


絵に描いたような干潟が出てきました。
周囲に建っている建物は別荘地だけあって、
風景にマッチしている美しいものばかり。こんなところに住んでみたいのう・・・。


この場所は日在潟(ひありがた)と言い、国定公園&鳥獣保護区だそうです。
レポの冒頭のように、ここまで来るには入り組んだ細い道を通らなければいけないため、
ここまでこれる人もごくわずかのようです。
そういうこともあって、自然がきれいに守られているんでしょうね。


もう少し進むと、九十九里の浜に出ます。
このあたりはウミガメの保護区のようで、看板の通りお願いがあります。


こんな感じの浜になっています。レジャーも遊泳も禁止です。
中央のでっぱっている岬は太東崎になります。
秋のからっとした天気もあいまって、ただ腰掛けて浜風を受けるだけで気分が良いです。


よく考えてみると、
鴎荘跡地や梅屋別荘跡地という観光資源を大きく紹介してしまうと、
このレポ後半の自然もめちゃめちゃになってしまう可能性をはらんでいます。
それをふまえて、いすみ市はわざと公開していない可能性も考えられます。

そう考えると今回訪問した物件は商業化せずに、
私のようなB級スポット愛好者がぽつぽつと訪れるぐらいの規模がよいのかもしれません。
千葉のこういった美しい自然を、未来に残していくことが一番大事だと感じさせられましたし。

以上、鴎荘をお送りいたしました。
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