File 055 行徳富士

千葉湾岸の大動脈である国道357号のふもとに、まやかしの緑が茂る山が見える。
正体は違法投棄で人為的につくられた、
湾岸地帯の高度成長の裏に隠された負の遺産である。


行徳富士
【所在地】千葉県市川市行徳1342番地あたり
【地図】googleマップ
※航空写真モードでみると、違法残土がきれいに積まれていることがわかります。
【HP】-
【交通手段】車、バイクで国道357号高浜交差点付近北側へ

2009/04/11 訪問

国道357号は正直、地元の人も通りたくないぐらいの渋滞の酷い道路です。
信号があるたびにひっかかるようなフン詰まりな道路なのですが、
最近はここで紹介する物件周辺の道路改良により、以前よりはスムーズに通れるようになりました。
その渋滞ポイントの北側に、緑が茂る大きな山が見えます。
知らない人は自然に出来た山のように見えますが、正体は違法残土の山。
昭和56年から平成8年までの約15年の間、許可されていない残土廃棄を続け、この山になったそうです。

残土って何かというと、たとえば六本木のアークヒルズぐらいな巨大な面積で、
地下2F分地面を掘ると、信じられないぐらい大量の土が発生するわけです。
これは建物をたてるときにに利用するわけにもいきませんから、どこかに捨てるしかありません。
最近では房総の山中に、トラックが運び込んで捨てているのがよく問題になっています。
残土は4トントラック1杯分捨てると1万円が相場のようですから、
土地がどうにかなれば、原価ほぼゼロで儲かるわけですね。


右に見えるのが国道357号。
左が今回の物件、行徳富士になります。


鉄条網の先に立入禁止の看板と、注意事項の看板があります。



注意事項の拡大するとこんな感じです。

要約すると、
○ここの持ち主は捨てるのを止めろ。
○ここの持ち主はこの山をさっさと処分しろ。
ということですが、さすがに無理だったようです。

この土地はすでに国が没収しており、国有地となっております。
残土の山を作った社長は懲役1年の刑を受けており、現在は残土処理はやっていないと思われます。
しかし、ここには複数の会社があるようで、今も廃棄物が捨てられているように見えます。

この山を平らにするためには巨額のお金がかかり、周辺の土地も同時に買い取ると、
金額にしてなんと42億円がかかる模様。
買収後は終末処理場(一般的には下水の水をきれいにする施設)にするそうですが、
金額が大きすぎるので、市政で政争の種になることが多いようです。


国道の裏側に来てみました。
こちらに来ると、高さとか雰囲気がわかりやすいです。
高さは40mぐらい、4〜5階のビルと同じでしょうか。


差押物公示書。
千葉の裁判所が、ここの持ち主から土地を没収したときのものですね。
この建物の向かいの土地はすでに国有地となっており、
終末処理場建設予定地とありました。


この先は・・・
どのルートが一番のぼりやすいかといったら、この先でしょうか。
地図によりますと、写真のところを上りきると、
トラックの運搬用の道が、行徳富士の中心まで続いています。

一応この物件は立入禁止ですし、運が悪いと警察沙汰になるかもしれません。
ワタシがこの山を登ったかは、想像にお任せします。
なので、この先のレポはありません。消化不良でスミマセン。

以上、行徳富士をお送りいたしました。
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